1ページ目から読む
3/3ページ目

 自由韓国党の男性支持者(70代)も言う。

「(朴前大統領は)釈放だなんだと騒がないで、静かにしていてほしい。

 そもそも弾劾訴追されて罷免されたということ自体が許せないのです。文民政権になってから大統領が弾劾されたのは初めてで、それを保守政権から出してしまった。彼女に政治力があったなら、弾劾訴追はいくらでも阻止できた。それは側近にも同じことが言える。要は、彼女、彼らに政治力がなかったということ。保守派を破壊したのです。

ADVERTISEMENT

 北朝鮮が飛ばしたミサイルをミサイルといわないような北朝鮮寄りの政策をとり、経済を落ち込ませるなど、あまりにも現政権が酷いからこそ、よけいに朴前大統領には腹が立つ。自由韓国党は、まず朴大統領支持派を一掃すべきだ。朴前大統領とはきっぱり袂を分かち新しい保守政党にうまれかわらなければならない。今のままではまだ(進歩政権に)勝てない」

 朴前大統領の弾劾訴追時、大統領側の弁護団にいた弁護士はまた異なった見解だ。

「今、朴前大統領が問われている収賄は賄賂をもらって成り立つもので、朴大統領は受け取っていないので、収賄罪は成り立たない。今行われているのは、小説です。茶番です。でも、国民はそれを信じ切っている。真実を知らないから、朴大統領に厳しくなる。進歩政権ではまず刑の執行が停止されることはない」

若い人にとっては「本の中の人」に過ぎないが……

 冒頭の世論調査関係者はこう分析する。

「朴前大統領の支持層は高齢者層で、父親の朴正煕元大統領時代の記憶がある層です。この影響が大きい。その記憶が残っているのは今の50代前半まで。40代以下にとっては朴正煕元大統領は本の中の人に過ぎない。

朴前大統領への判決に抗議するデモに参加する女性 ©Getty Images

 朴前大統領の支持者の中でも熱狂的なのは高齢者の女性です。大統領時代も90%近い支持率がありました。反対に若い層、20代の女性からは20%前後ともっとも支持がなかった。理由は保守的で女性のための政策も考えていないし、共感できるものがないなど複合的でした。この層は、今の文大統領では支持率がもっとも高い層です。

袂を分かつことができないジレンマ 

 保守派が巻き返しを狙うのであれば、朴前大統領と断絶し党をどう整備するか、そして若い層をどう取り込むかが支持率回復のカギになるでしょう」

 保守派も一枚岩ではない。

「自由韓国党」は朴前大統領を強く支持する「大韓愛国党」とは一線を画しているが、票田を考えるとはっきりと袂を分かつことができず、党内部にも朴大統領支持者議員が存在するなど、簡単に朴前大統領と決別できないジレンマを抱える。

    また、朴前大統領の弾劾訴追に賛成し「自由韓国党」から離脱した第2野党「正しい未来党」は朴前大統領と決別しているものの、野党でも与党でもない曖昧な立ち位置なため低支持率に喘いでいて、次の総選挙では「自由韓国党」と手を握るのか否かにも注目が集まる。

 さて、韓国保守派の運命やいかに。