朴槿恵前大統領の弾劾・罷免から2年あまり。瀕死の状態に陥ったともいわれた保守派で第一野党の「自由韓国党」が“打って出ている”。
支持率の上昇で保守派は「錯覚している」
保守で第一野党の「自由韓国党」の支持率が今年に入り、じんわり上昇ラインをたどっている(昨年7月10%→5月17日24%、与党第一党「共に民主党」は同51%→38%、いずれも韓国ギャラップ)。この勢いに乗り、来年4月の総選挙に向けて一気に保守の結束を固めようと、「国民の中へ 民生闘争大長征」と物々しく銘打ち、黄教安同党代表が韓国全国を巡ったりもした。しかし、と世論調査関係者は言う。
「保守派は錯覚しています。文在寅政権離れは起きてはいますが、それが保守派に向いているわけではない。たとえば、文大統領をもっとも支持しない層といわれる20代男性も必ずしも保守派になっているわけではありません。あくまでも政策離れを起こしているに過ぎない。
自由韓国党の支持率が上がっている背景には、失業者が史上最大となるなどの経済の失速や対北外交で現政権の失策についての批判が高まる一方、黄教安氏が自由韓国党の新しい党代表となり、党全体が安定感を持ってきたことが重なっています。
しかし、保守派が以前のような支持率を回復しようとするなら、まず、過去ときっちり断絶しなければいけない。朴槿恵前大統領の弾劾、罷免という“大事件”と向き合い、朴前大統領との関係を整理しなければ従来の支持を得ることは難しいでしょう」
保守派にとって悪夢はまだ終わっていない。
朴前大統領の嫌われぶり
保守派再生のカギを握るその朴槿恵前大統領の嫌われぶりといえば、やはり酷いままだ。
4月17日、朴前大統領の「刑の執行停止」がソウル中央地裁に申請された。「頸椎や腰椎のディスクが好転せず、焼かれたような痛みとナイフで肉をえぐられるような痛みで不眠になっている」(京郷新聞4月26日)などという健康上の理由からだった。久しぶりに聞いた朴前大統領の消息だったが、これが報じられると世論はざわついた。