妊婦を見て号泣。全然諦めきれていなかった自分に遭遇
そうしてなんとか心のざわつきを収めつつあったある日、街で妊婦さんを見た途端、涙がドバドバ溢れてきました。
適当に不妊治療をしていたかつての自分は、選べる自由を手にしていたことがどんなに幸せか、まったくわかっていなかったと感じました。
その日から、気づけば自分の使う抗がん剤の副作用を薬剤師に尋ねまくり、臨床心理士に電話で泣きつき、がん治療と生殖医療の両方に通じている医者を探す日々。諦めたはずが、体は勝手に行動していました。
最終的には夫からの「それをお守りにすればいいじゃん」という一言が後押しになり、結局、採卵に踏み切ることに。
慌てて病院へ駆け込んだのは、暮れも押し詰まる12月21日。その日から毎日3時間かけて排卵誘発剤の注射を打ちに病院へ通い、12月29日に採卵。31日に受精卵完成という無茶苦茶なスケジュールで卵ミッションは幕を閉じたのでした。
ちなみに、「無月経&排卵障害のなか、数週間で卵をとるのは難しいのでは?」という私の考えは間違っていたようで、排卵誘発剤を使うことで12個の卵をとってもらうことができました。
また懸念していた授乳に関しては、術後の傷の痛みに耐えられず、あっさり断乳。入院期間中、強制的におっぱいと離れたこともあり、母子ともに悲壮感なく乳とさよならできたのでした。
そしてすべてを終えて抗がん剤治療をしている今、気持ちは非常に穏やかです。
できてもできなくても、もういいや。
あのとき妊婦さんを見て落涙し、体が動いてしまったこと。自分はそれに従うしかなかったのだと思います。
そして、勝手な素人考えでうじうじと悩み、時間がなくなってしまうのがなによりもったいないこと。それが今回の学びでした。
なのでもし今、子作りのことでもやもやしている方がいたら、一刻も早く病院へ駆け込んでほしいと思います。その衝動を、全力で応援しています。