文春オンライン

神戸の大学教授からベイスターズファンの人妻へ バファローズの魅力を教えます

文春野球コラム ペナントレース2019【対戦テーマ:推し球団プレゼン大会】

2019/06/04
note

他球団にはない選手とファンの距離の近さ

 で、オリックスはそういうところは大阪でも一緒。二軍の練習場は「舞洲」っていう埋め立て地にあるんだけど、大阪市内でも不便な場所なので、そこまで押し掛けるファンはそんなに多くない。同じ関西の阪神の鳴尾浜と比べれば明らかに人の多さが違う。でも、だからこそ、そこでの選手とファンの距離は近い。

 例えば、今の二軍には山崎颯一郎という、やはり2016年ドラフトで高卒から入団したちょっと格好のいい背の高い投手がいるのだけど、彼の後ろにはいつも巨大な一眼レフを握りしめた「熱い」妙齢の女性ファンがいっぱいついていたりする。距離の近さは、一軍でも同じで、試合が終わってショップで買い物を済ませて帰りの電車に乗ろうとしたら、ベンチにいた筈の外国人選手が電車の座席に腰かけていたりする。僕は昭和の大阪の生まれだから、どうしても「あぶさん」的な昔の在阪パ・リーグ球団のイメージから抜けられないのだけど、こういう「選手とファンの近い距離」って今のプロスポーツでは少なくなったと思うんだよね。勿論、選手にとっては自分の近くにうじゃうじゃとファンがいて四六時中見てられるのは大変だと思うけどさ。

 歳をとったせいかもしれないけど、こうして自分が以前から知っている(ような気になっている)若い選手が育っていくのを間近で見られるのは、やっぱり嬉しいんだよ。そうちょうど、うちの院生のこいつらが育っていくのを見ているのと同じ。そりゃさあ、僕だってすごく恵まれた大学で、キレッキレの偏差値秀才が沢山いる前で、教えてみたいと思う事だってあるよ。でもね、最初は大丈夫か、と思った様な学生がみるみるうちに「化けて」いくのを見るのは、それはそれで楽しいじゃない? まあ言ってみれば、こいつらは、俺にとっての榊原。今は誰も知らないし、実績もないから、まだ全員「育成」。金もないから、生きていくだけで精一杯。でもこいつらなりに、一生懸命やってるから、そのうち成功する奴もきっと出て来る。とりあえず、榊原みたいに元気一杯やってくれると嬉しいかな。偉そうな事言ったって、ファンと一緒で、大学の先生なんて、できる事は限られている。頑張るのは本人で、僕たちはその環境を整えて応援してあげるのが精々だよね。でも、それが少しでも彼らの成功につながるなら、それは大学教員冥利に尽きるってもんだよ。

ADVERTISEMENT

 えっ、何、先生、そろそろ二次会行きましょう、ってか? しゃーない、奢ってやるからついておいで。帰りたい奴は終電の時間もあるから、早く帰れよ。明日もちゃんとゼミするからな。そうそう西澤さん、今度はこいつらなしで飲みに行こうよ。次は横浜でね。シューマイでも奢ってよ。それから光や赤間も応援してあげてよね。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/12148 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

神戸の大学教授からベイスターズファンの人妻へ バファローズの魅力を教えます

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!