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川崎の人妻からバファローズファンの大学教授へ ベイスターズの魅力を教えます

文春野球コラム ペナントレース2019【対戦テーマ:推し球団プレゼン大会】

2019/06/04

私たちは心に大仏を建立しているのかもしれない

 幸か不幸か、波乱万丈な球団を愛してしまったのです。でも一方で、ベイスターズを好きにならなければわからなかったこともたくさんあります。道端に咲いた小さな花に生命の息吹を感じて泣いてしまうように、喘ぐようにつないでもぎ取った1点に歓喜する。初孫の成長を愛でる気持ちで高卒ルーキーの登板を見守る。厳しい冬の時代を耐えに耐え、時折やってくる途轍もない逆転勝利に心が震える。そんな時、この世にベイスターズがあることに感謝するのです。

 奈良の大仏様に見守られながら思春期を過ごされた木村先生なら、きっと分かってくださるはず。疫病や災害が続いた時代に、聖武天皇が建立した奈良の大仏、盧舎那仏。その理念は「生きとし生けるものが共に栄えること」だったと記憶しています。「盧舎那仏造顕の詔」の中で、聖武天皇は「此の富勢を以て、此の尊像を 造ること、事の成り易(やす)くして、心は至り難し」とおっしゃいました。つまり権力者の自分が大仏を作るのは簡単だけど、それだけでは大仏様のバイブス上がらねえと。「各(おのおの)介福(おおいなるふく)を招き、 宜(よろ)しく日毎に盧舎那佛を三拝し、自(おのずか)ら當(まさ)に念を存し、各(おのおの)盧舎那佛を造るべし」。大仏建立に参加する人は、広く大きな幸せが来ることを願いながら作りなさい。そしたら大仏様のバイブスがブチ上がりますと。

 そう、富や権力ではない、小さき者たちが寄り添い、集まり、広く大きな幸せを願う。負けを覚悟しながらもハマスタに通い、予想通り打ちのめされたり、予想外に打ちのめしたり、そんなことを繰り返しながら、やっぱり今日も応援をする。私たちは、こうして少しずつ心に大仏を建立しているのかもしれないなって、思うのです。波乱万丈なベイスターズの民を救ってくれる大仏は、他らならぬ私たちの心の中にある。優勝したら大仏は完成の日を迎えるのでしょうが、これがサクラダファミリアか横浜駅かというくらい、未完成のままです。

疫病や災害が続いた時代に聖武天皇が建立した奈良の大仏 ©iStock

 そうそう、先生の娘さんもオリックスファンだとお伺いしました。いいですね、いい。多少の生きづらさ込みで、いい、グッときます。また先生と対戦があるなら、今度はうちの息子と先生の娘さんで「ここが辛いよ、二世ファン対決」とかどうでしょうか。原稿料はもちろん親が預かりましょう。「優勝したら好きなもん買ってやるから」これでいこう。

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