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横浜へと嫁いだ伊藤光 恩返しのホームランで呼びおこされた“ウチの子”の記憶

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/06/07
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恩返しをありがとう伊藤光

 そんな彼の横浜行きが決まったのは2018年7月の事だった。親友の西勇輝はブログでこう思いを綴っている。

「ヒカルさん。プロ10年間っすね。んー。入団したときから苦楽共にしてきて、いろんな経験したっすよね。寮での出来事や。ヒカルさんは怪我して、ぼくが顔面の病気なったときも。ずっと楽しいこととかで励ましたり。いろんなご飯食べに行ったり買い物行ったり。遠征では大体、一緒にご飯。笑 そして3年目から一軍で一緒にバッテリー組んで 失敗したときは一緒に監督室とかに呼ばれて、僕の責任も全てかばってくれて、尚且つ、次のピッチングに影響ないようにフォローも完璧。ぼくは先輩ではなく、いつのまにか友達感覚で野球の話をしてましたね。1つ上なのに何一つ飾らず、いい先輩でいてくれてありがとうございます。1番プロで過ごした時間が長い先輩ですね。すごく今寂しいっす。。ですけど。これも全て現実。仕方ないこともありますよね。これから別のチームで共に活躍できるようにやっていきましょ。10年当たり前に過ごしてたこと、これからもっと大切にしていこと思いました。2122」

 いつかは来るだろうと覚悟はしていたウチの子との別れ。それもバファローズ時代の後半は1塁手に3塁手、若月の台頭であまり捕手としての出番に恵まれなかった彼の事を思えば、捕手としての彼を必要としてくれる横浜でプレーする方が彼にとってはきっと幸せな事なのだろう、言い聞かせて自らに課していた覚悟。そしてその覚悟通りに訪れた別れ。

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 冒頭で触れたホームランをウチの子は「恩返し」だと表現した。そうか。ならば恩返しをありがとう伊藤光。大阪のファン達はしっかり見届けた。だから、これからもその強肩で、その好打で、いやその高すぎる顔面偏差値で、今は心から伊藤光を愛してやまない横浜のファン達を魅了し続けて欲しい。

 仲間を鼓舞するその姿は 扇の要たる所以 冴え渡るその戦術活かし 敵を向かい撃て かっ飛ばせ 光 (伊藤光応援歌・オリックスバファローズ私設応援団「大阪紅牛會」)

オリックス時代の伊藤光(右はディクソン) ©文藝春秋

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