私はいまから冒険に出る。東京駅から出発してどこかに行くのではない。極小的、一点突破的、ひきこもり的に、東京駅内でぐるぐるまわるだけだ。
前々から気になっていた。そういえばいつのまにか東京駅では改札の外に出なくてもいろんなパンが買えるようになっている。グランスタとかいろいろできて、もうどっちがどっちかわからない混迷の度を濃くしている。私は敢然と立ち上がった。東京駅の構内には何種類のパンを売っているのか、今日こそ白黒はっきりつけよう。
くれぐれもご了解いただきたいのは、2017年1月23日の午後のある瞬間の個数ということ。売り切れも、季節による変動も、私の数え間違いも十分にあることは、ご容赦いただきたい。
ルールとして以下を定める。
ルール1. 個数ちがい、量違い(1個、1/2個)もすべて1種類と数える。
ルール2. 「東京駅限定」や気になるパンがあった場合購入して、味を確認。
ルール3. 今回、パンは「小麦粉の生地を発酵させているもの」と定義。「お菓子」「無発酵パン」は除外。
さあパンを数えるぞ、という武者震い、あるいは寒気
午後12時16分、軽快な足取りで上野東京ラインのホームに降り立った。さあパンを数えるぞという、武者震いだか、急に外に出て寒気がしたのだかわからないが、背筋をぞくぞくと走るものがあった。
手始めに、ホーム上にあったキオスクでパンの数を数える。キオスク、NEWDAYS(JR東日本のコンビニ)のPB商品「Panest」の袋パン17種類の存在を確認。ホームの上でさえこんなにたくさんパンを売っているのだ。
1階コンコース北通路に降りる。残念ながら、シャッターが閉じられ、いくつかの店が改装工事を行っている。丸の内から八重洲のほうへ抜けると、第一おみやげ屋発見。パンと関係ないだろうとスルーしそうになったが、ラスクを売っている可能性を思い直す。案の定、YOKUMOKUにさくさくキャラメリングというラスクがあったがこれはフランスパン生地ではなく、シュー生地を乾かしたもので、パンではなくお菓子だ。