2019年6月1日・2日。BTSは韓国人アーティストとして初めてロンドンのウェンブリー・スタジアムで公演した。フレディ・マーキュリーの生涯を描いたアカデミー賞映画「ボヘミアン・ラプソディ」で、クライマックスのライブ・エイドが行われた場所だ。集まった観客は約12万人。そのなかにわたしもいた。
公演の告知があったのは2月。クイーンが伝説を作ったあのウェンブリーで、ウリバンタン(わたしたちのBTS)がコンサートを!? 行きたい。でも、どうやってチケットを取ったらいいのかわからない。「そこから?」と思われるだろうが、そこから始まるレポである。
当方、ARMY(BTSのファン)歴は1年弱。英語はできない。海外ひとり旅も初めての中年フリーライターだ。たまたまYouTubeで「DOPE」のMVを見たのがはまったきっかけ。楽曲とダンスのかっこよさに引き込まれ、いまだに宿舎で共同生活を送っているという7人組の男の子の仲の良さを知るうちにずぶずぶとのめり込んだ。仕事でセクハラに遭って鬱屈がたまっていたから、癒やしを求めていたのかもしれない。去年日本でバッシングされたときも、国同士の複雑な関係についていろいろ考えはしたけれど熱は冷めなかった。
まずはツイッターで情報収集
ロンドンで開催されるコンサートにどうしたら行けるのか。まずはツイッターで情報を収集して、Ticketmasterの会員になった。ARMYは巨大なファンダムだから、たいていのことは探せば方法をまとめてくれている人が見つかるのである。英語の説明はGoogle翻訳で調べてなんとなく理解した。人気公演は購入権も席も抽選の日本と違い、早いもの勝ちで好きな席を選んで買えるシステムだ。3月はじめの発売日にサイトにアクセスしたが、6月1日のチケットは購入ページにつながらないまま完売。追加公演の2日のチケットはかろうじて買えた。
せっかく2日目は確保できたから初日も行きたい。というわけで、もう1枚はStubHubで購入した。ネットオークションで有名なeBay系列のチケット販売会社だ。こちらは日本語のサポートがある。売り手が個人だからか、チケットがなかなか届かず不安だったが、滞在先のホテルに送ってもらうように手配してなんとか間に合った。
出発を間近に控えたある日。韓国の公式ショップで予約していた「BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' EUROPE」のDVDが届いた。ウェンブリーに行こうと思い立ったのは会場に特別感があるからだけども、決定打になったのは2018年のロンドン公演をファンカム(ファンが自分のカメラで撮影した動画 ※海外公演は撮影自由なことが多い。ちなみにウェンブリーもコンパクトデジタルカメラまでは持ち込み可)で観たことだ。