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「天安門30周年」直前にツイッターが凍結された中国ライターの顛末

2019/06/10

 今年6月1日の朝のことである。出張先のホテルで目を覚ました私は身支度を済ませてから、ツイッターに告知文を投稿するためにスマホのアプリを立ち上げた。2日前に収録があった朝日放送の『正義のミカタ』の天安門事件30周年特集が、この日の朝9時30分から放送されるのだ。

 ところが、立ち上げたアプリはタイムラインが数時間以上前からまったく更新されない状態になっていた。不思議に思ってすこし操作すると、アカウントの凍結を伝えるプッシュ通知が画面上に現れた。トップ画面を見ると、それぞれ888人いたフォロー数、1.8万人ぐらいいたフォロワー数がともにゼロになっている。

――ちくしょう。ついに俺もやられたか。

 この時点ではそんな感想だったかと思う。日本では多くの人が使っている情報ツールであるツイッターだが、アカウントの凍結基準が「ザル」であると多くの人から指摘されているからだ。

©iStock.com

 例えば「台所にゴキブリが出た、マジでぶっ殺す!」などとツイートしたとする。すこし前までは、悪意のある第三者が複数人でこの手の投稿を「脅迫行為」として通報した場合、自分のアカウントが凍結されてしまう可能性すらあり得たのである(最近はもうすこし賢くなったようだが)。

 事実、アンチ(反対者)を多く抱えているクリエイターや評論家などが、これに近い手法によってアカウントを潰される例もあるらしい。やれやれ、ルサンチマンにまみれたアホなヒマ人どもの悪意の矛先は、なんと私ごときにまで向くようになったのか。

中国反体制系アカウントが1000人規模で凍結?

 だが、しばらくすると、どうやら様子が違うらしいことがわかってきた。アメリカなど海外に在住する反中国共産党的なアカウントが、ごっそりと凍結されたことが明らかになったのである。

 今年の6月4日は、1989年に人民解放軍が北京市内で学生デモを武力鎮圧した天安門事件(六四天安門事件)から30周年にあたる。この手の問題にセンシティヴな習近平政権は、過去にないほど大規模な厳戒態勢を敷いている。今回の大量凍結もこの問題のせいではないかというのだ。

 アメリカ国家安全保障会議元シニアディレクターのロバート・スポルディングのツイート(日本時間6月1日8:20)によれば、今回凍結された中国反体制系アカウントの数は1000人規模にのぼるという。共和党保守派の有力な上院議員、マルコ・ルビオも、公式アカウント上でこの現象を紹介し「ツイッター社は中国政府の検閲者になってしまった」と激しく批判した。

凍結祭りについて中国の関与を指摘する共和党上院議員ルビオ氏の投稿。彼は共和党内の大統領予備選でトランプと競り合った人物だ