写真は何の変哲もないアサリに見えるかもしれないが、私はこれを食べた後、ひどい下痢に苦しみ、一晩中トイレから出られなくなってしまった。今でもアサリをほとんど食べない。というより食べられない。国産だとわかっていても、あのときのヘドロ臭と悪夢のような記憶がよみがえり、気持ち悪くなってしまうからだ。
今回は、そんな中国産「ヘドロアサリ」を実食した体験談をご紹介したい。
訪れたのは、中国・山東省青島市城陽区のアサリ加工場だ。ここは養殖場も経営しており、青島近海で獲れたアサリをトラックで運び、加工して出荷するという。写真だと砂利に見えるが、荷台にはアサリが直に積まれていた。その上にも、網の中にびっしり詰められたアサリが積まれている。
「網に入れたほうがたくさん運べるからな」
日焼けした総経理(社長)の顔は得意気だった。彼は、我々が捕まえた地元タクシー運転手の親戚だったため、とても愛想よく出迎えてくれた。
社長が我々を加工場へ招き入れると、ちょうど網に入ったアサリをトラックから降ろしている従業員がいた。当時、8月上旬で気温も30度を超えていたため、半ズボンや上半身裸で作業していたのである。アサリからも腐臭のような変な刺激臭がした。