先日、友人がスナックで、おつまみとして出された柿ピーを食べていると、「中国産のピーナッツは毒まみれだからやめておいたほうがいい!」と親切なお客さんに忠告されたという。カウンターにいた他のお客さんは怖くなったのか、ピーナッツを避けて柿の種ばかり取り始めた。店のママは豆だけ残っている小皿を見て迷惑そうな表情を浮かべ、なんとなく場の空気が悪くなったらしい。その客が出されたピーナッツを中国産と断定した根拠は分からない。しかも、“毒まみれ”とは穏やかじゃないが、中国産ピーナッツにはそう思い込まれてしまう事情がある。
自然界最強の発がん性物質
理由はアフラトキシン。「自然界最強の発がん性物質」とも呼ばれ、急性毒性よりはむしろ、慢性的に摂取すれば肝臓がんを発症するリスクが高くなると、国際的なリスク評価機関のFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)でも注意を呼びかけている。
実際、平成27年度から平成29年度における厚生労働省の輸入食品等の食品衛生法違反事例を確認すると、大粒落花生や炒ったピーナッツなど、中国から輸入されたピーナッツ製品で87件の違反があった。全ての違反理由が、国が定めた基準値を超えるアフラトキシンが検出されたことによるものだ。
しかも、平成27年度は20件、平成28年度は43件、平成29年度は34件と過去3年で増加傾向にあるから心配だ。違反の目立つ大粒落花生は、殻付きのまま販売される商品が多い。粒の大きなものは柿ピーなどにも使われ、小粒や揚げたピーナッツは、主に菓子類に使用されるという。