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カビ毒が中国産ピーナッツに発生する本当の理由

「この工場では年間1万2000トンのピーナッツ製品を世界へ輸出しています。日本の企業にも毎年4000トンのピーナッツを送っています」

ベルトコンベアで運ばれてきたピーナッツを加工する機械

 落花生を選別する機械や、バターピーナッツの製造機を見学しながら、中国人社長は親切に教えてくれた。

 中国で様々な食品工場を見てきたが、このピーナッツ工場はすごく清潔だ。カビが生えるような不衛生な要因は全く見受けられない。
 
 この工場では、日本向けのバターピーナッツも落花生から殻を取って加工しているという。商品はキレイに袋や段ボールに詰められ、衛生的な問題は見当たらなかった。

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工場内の機械も驚くほど清掃が行き届いていた

 畑や加工場に問題がないのに、なぜ、アフラトキシンのようなカビ毒が、中国産のピーナッツに発生するのか。中国人社長はこう答えた。

「それは収穫してから乾燥させる期間の問題です。落花生は畑で収穫してから天日で干しますが、その期間が長いほど落花生の殻は白くなる。乾燥の度合が足りないと黒ずんでしまう。乾燥の足りない落花生はカビます。これがアフラトキシンを発生させる原因です。我々の会社では、契約の落花生農家へ規定の農薬を与え、収穫した落花生の乾燥もきちんと管理しています。さらに全て市内で収穫したものを使用しています。山東省の青島あたりでは、様々な農家の落花生をかき集めてきて日本へ輸出しているそうですが、そうした管理の行き届かない落花生にカビが生えています」

船での輸出中にカビが発生しやすい

 社長の熱弁は止まらない。

「日本への輸出手段は主に船です。船内は湿気も多く、カビが発生しやすい環境です。だから、きちんと中国国内で落花生を乾燥させる必要があるのです。我々は独自の検査機器でアフラトキシンや残留農薬のチェックをしている。自社のチェックで問題が出たときはその農家からのピーナッツの購入はしません。これくらいしないと、安全な商品を日本へ送ることができないからです」