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収穫量が多すぎて、十分に乾燥させないままピーナッツを売ってしまう農家も

 工場を後にして、別の落花生農家の男性にも取材したが、やはり中国産ピーナッツでカビが発生する原因は、乾燥不足だと語っていた。全ての落花生農家がきちんと乾燥させるわけではないという。

 収穫量が多すぎて、決められた納期までに十分に乾燥させることができないまま、業者へ落花生を売ってしまう農家も少なくないそうだ。それは、中国が日本をはじめとした国へ大量の落花生を輸出しているため、農家に求める量も多くなるからだ。こうした事情によって、船積みされた中国産ピーナッツは移送途中でアフラトキシンが発生してしまう。

 

 FAO(国連食糧農業機関)の統計(2014年)によると、世界の落花生生産量(殻付き)は、約4232万トン。生産量第1位は中国の約1570万トン。2位のインドは約660万トンなので、中国はダントツの生産量を誇っている。

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  日本はどうか。一般財団法人「全国落花生協会」のHPを見ると、日本の生産量は1万5500トン(2016年)。千葉県産が8割近くを占め、次に茨城県が多い。この2県で約9割の国産落花生が生産されているという。同協会の統計では、日本は2016年に3万1769トンのピーナッツ(むきみ)を輸入している。内訳は中国が1万2126トン。米国が1万1865トンで、ほとんど米中からの輸入に頼っているのが現状だ。

 収穫前や加工中よりも後に生じる問題の危険性こそ、中国産ピーナッツが怖い本当の理由だろう。実は、輸入食品等の食品衛生法違反事例をよく見ると、米国産のピーナッツや木の実類もアフラトキシンが検出されており、積み戻し措置になっているケースが多い。恐らく、中国同様、船による輸送でカビが生えてしまったことが原因と推測できる。国民の安全を守るためにも、政府が中国や米国に、輸送時における衛生管理も呼びかけて欲しいものだ。

(左)しっかり乾燥できた落花生。(右)中国の市場で見たもの。ところどころ黒ずんでいる

 上の写真を見て欲しい。左はしっかり乾燥できた落花生だ。右は中国の市場で見たものだ。ところどころ、黒ずんでいる部分もあるため、カビが生えている可能性がある。とにかく、殻付きの落花生を選ぶ際は、できるだけ殻の白い商品を選んで欲しい。黒っぽい殻は避け、あとは虫食い痕のある落花生もカビが生えやすいので選別して食べないようにしたほうが安全だ。

 アフラトキシンは熱に強く、炒りピーナッツやバターピーナッツでもアフラトキシンは検出されている。素人が見分けるのはほぼ不可能に近い。濃い緑など、変色しているピーナッツは食べないことだ。いくらなんでも変色しているピーナッツを食べ続けるモノ好きも少ないだろう。

 ただ、国産ピーナッツでアフラトキシンが検出された例はないという。中国産ピーナッツは、安価で美味しいものも多いが、抵抗力の高い成人はともかく、子どもやお年寄りは控えたほうが賢明かもしれない。

写真=徳山大樹

怖い中国食品、不気味なアメリカ食品 (講談社文庫)

奥野 修司、徳山大樹(著)

講談社
2017年9月13日 発売

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