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なじみ深い「アサリの酒蒸し」や「ボンゴレビアンコ」も中国産

 アサリの輸入量は、2004年が約5万2000トン。2012年は約3万5000トンに下がったが、7割が中国産のアサリだ。安い飲食チェーンの「アサリの酒蒸し」や「ボンゴレビアンコ」など、日本人にもなじみの深い料理に使われている。

 厚生労働省が発表している「輸入食品違反事例」(2012年度)を見ても、水産物や水産加工物で最も違反が多かったのが、アサリだった。

 2016年度の「輸入食品違反事例」を表にまとめたので見て欲しい。

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「不適格内容」の中で気になるのがプロメトリンだ。これは大根畑などで使われる除草剤だ。

 食材によって異なる場合も多いが、食品衛生法を見ると「人の健康を損なうおそれのない量」は、0.01ppmを基準としている。

 中国では、大量に使われた農薬が、畑から川へ流出し、近海に生息する貝類を汚染すると言われている。ところが、地元の中国人運転手が興味深い証言をした。

「除草剤は海に直接まくんだよ」

「ええ? うそでしょ」

「海に藻が繁殖すると、魚介類を獲りづらくなったり、養殖しているひじきやノリに悪影響が出るからだよ。除草剤をまけば、邪魔な藻をすぐ取り除くことができるんだ」

 実に腑に落ちる説明だった。だから海中のアサリにプロメトリンが残留するのか。表中にも違反の原因として「近隣のなまこ養殖場で散布された除草剤による汚染」とある。

青島を流れる川は墨汁を水に溶かしたような色をしている。20年前は泳げるくらいきれいな川だったという

 こうして、川から流れてくる工場などからの汚染物質も加わり、中国の水質汚染はどんどん進むのだろう。日本政府は摘発だけでなく、除草剤を海にまく中国人の愚行をやめさせる努力をしてほしいものだ。

写真=徳山大樹

怖い中国食品、不気味なアメリカ食品 (講談社文庫)

奥野 修司(著)

講談社
2017年9月13日 発売

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