ピーナッツといえば、柿ピーやバタピー。あるいはチョコレートコーティングのお菓子と思っていたら、大間違い。著書『ピーナッツで長生き!』(小社刊)で、「世界が注目する最強食材」と推薦するのは、ナッツやえごま油など「健康によい油」の有用性研究の第一人者で、慶應義塾大学医学部の井上浩義教授だ。
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井上教授によると、ピーナッツに関する研究で最も名高いのが、ハーバード大学ウォルター・ウィレット教授が2013年に発表した研究だという。
「ウィレット教授は30年かけて12万人以上を対象に大規模調査を行い、ピーナッツを毎日食べると、生活習慣病などによる死亡リスクが20%低下するという研究結果を導きだしました。これは権威ある医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』にも掲載されています」(井上教授・以下同)
ピーナッツには身体を活性化させ、病気の予防に役立つ成分がたくさん含まれているのだという。
「中でも最も注目されるのが、強力な抗酸化力を持ち、長寿遺伝子を活性化させる『レスベラトロール』というポリフェノールです。
「薄皮つきで食べる」が鉄則
呼吸によって体内に入った酸素は、一部が活性酸素に変化します。活性酸素は、体内に侵入した細菌などを攻撃する一方で、正常な細胞も攻撃し酸化させてしまう。すると遺伝子や酵素が傷つき、動脈硬化やがん、アルツハイマー型認知症などの原因となるのです。
この活性酸素の悪い活動を抑えてくれる抗酸化物質は体内でも作られますが、加齢やストレスなどさまざまな要因で減っていってしまいます。そこで、ピーナッツの出番なのです。ピーナッツを食べると身体の抗酸化力が13%もアップすることがわかっています」
ところが、せっかくのレスベラトロールを台無しにする食べ方をしている人が大多数なのだ。
「レスベラトロールは茶色の薄皮に含まれているのに、苦味や渋味を気にして剥いてしまう人が多いのです。