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本人が「愛のシャワー」と呼ぶおぞましい行為

「5歳のときから男に性的虐待を受けたことで、こうした傾向(小児性愛障害)が始まり、徐々に慣習化した」。医師はそう断言する。トクプッツァは成長を重ねるにつれ、「バイセクシャル」を自認。女性と性交もしつつ、出会い系サイトで知り合った男との逢瀬を重ねる。そして最愛の男と別れて間もなく、親族の男児への虐待が始まった。本人が「愛のシャワー」と呼ぶおぞましい行為が。

 異常な来歴はしかし、異常な行為を正当化するものではない。「(惨めな人生があったことは事実でも)被告人がしたことの言い訳にはならない。性的虐待を受けた多くの子供は、自ら虐待をしたりはしない」とする裁判官の言葉はけだし正論だろう。

 トクプッツァは刑務所に40年入ることになるが、それでも、タイ警察に逮捕された別の男よりはましかもしれない。トクプッツァが児童ポルノを投稿していたサイトを運用していたタイ人の男は、自身も甥っ子を含む児童11人を性的に虐待し、なんと禁錮146年を言い渡されたのだ。神話時代の人間でもない限り、生きて外の空気を吸うことはない。

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©iStock.com

「我々はお前らをみている」

「あらゆる児童ポルノは犯罪の証拠であり、インターポールはいつでも全力で警察職員を助ける。世界中の被害者を特定し、救うために」。インターポールの事務総長は声明でそう高らかに宣言した。

 今回の捜査は4大陸を股にかけた。タイ警察が男児の児童ポルノ共有ネットワークのサイトを発見すると、米国警察がそのサーバーを確認。ブルガリア警察がサーバーを壊滅させ、ニュージーランド警察がサイトの会員を精査。オーストラリア警察がその一人、トクプッツァを特定し、逮捕した。捜査はそれでも収まる気配を見せない。

 残る100人の児童の特定、残る会員の逮捕。名前はまだ非公表のままだが、米国の公人もそのなかには含まれているという。インターポールの事務総長は声明でこう言及することも忘れなかった。

「我々はお前らをみている。そして、お前らを裁きの場に引っ張り出す」