昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「きれい!」子どもたちの想像のなかで巨大なピラミッドが輝く

 黒板には、今日の話の要点を200文字くらいにまとめた文章が、紫色で書かれていました。子どもたちは紫色の鉛筆をとりだして、B4サイズの画用紙でできた「エポックノート」に文章を写しとります。これが学習の記録となり、また、自分だけの教科書になります。

 さらに先生が補足します。

「メソポタミアでは星空の観測による時間の概念が生まれました。エジプトでは『きちんと測る』という考えが生まれました。ピラミッドはきれいに東西南北を向いています。夕暮れにいってみたら、どうみえるでしょう?」

「きれい!」

 目を輝かせた女の子が思わず叫びます。授業のなかでピラミッドの写真をみせたりはしません。でも、子どもたちの心には、巨大なピラミッドがありありと実感をともなってみえているのです。

「これでエジプトの話はおしまいです。最後に1つだけみなさんにみせたいものがあります」

 先生がとりだしたのはナツメヤシでした。

「古代エジプトではビールをつくるのに使われていたといわれています。食べてみたいひとは食べてみましょう」

 チャイムも号令もなく、授業は終わり。そのまま「おやつの時間」になりました。お弁当とは別に、各自果物やカステラなどをもってきており、エポック授業の後に食べるのです。エポック授業で集中していたところからのメリハリです。

 子どもたちは先生に対して絶対の敬意と信頼を寄せています。教室がざわつくことはありません。しかしシーンと静まり返っているわけでは決してない。むしろ脈打つように、教室全体が静かに力強く躍動しています。これは名門校と呼ばれるような進学校でもよくみられる光景と同じでした。

こちらはシュタイナーの幼稚園教育で使われる「手づくりのお人形」。表情がなく、そのお人形が笑っているのか、泣いているのか、怒っているのかは、子どもたちの想像力が決める(写真協力:一般社団法人 ヴァルドルフの森 キンダーガルテン なのはな園)

INFORMATION

シュタイナー学園初等部・中等部・高等部
https://www.steiner.ed.jp

●所在地:神奈川県相模原市緑区
●運営者:学校法人シュタイナー学園
●創立:2005年(前身の東京シュタイナーシューレは1987年)
●ジャンル:私立小学校・中学校・高等学校
●対象:小学生、中学生、高校生

この記事の写真(4枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z