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「エジプトの人は2トンの石をどうやって運んだでしょうか?」

「どんなひとがピラミッドを建てたと思いますか? バビロンの塔は、ギルガメッシュ王が、ひとびとを無理矢理働かせてつくりましたね。ところがエジプトは違います。8月には川が増水して、村のひとびとは仕事ができません。そこでエジプトの王様は、ピラミッドをつくりましょうといって、ひとびとを働かせ、パンやビールや賞金を与えたのです」

 それを聞いた子どもたちがキラリと反応します。

「わー、すごい!」
「ギルガメッシュより、優しいね!」

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 先生は、ピラミッドに関連するさまざまなエピソードを紹介します。世界史の試験に出るような話ではありませんが、当時のひとびとの様子や気持ちがありありと伝わってきます。

「木と青銅と石しかありません。大きな岩をどうやって割ったのでしょうか? となりのひとと考えてみてください」

 子ども同士に考えさせ、自由に発言させます。

こちらは「にじみ絵」というシュタイナー教育の特徴的な活動。水で塗らした画用紙に、絵の具を乗せて、色を体験する(写真協力:一般社団法人 ヴァルドルフの森 キンダーガルテン なのはな園)

「石にすこし隙間をつくったら、そこに木を挟んで、お水をかけます。そうすると木が膨張して、石が自然にわれるのです」
「頭いい!」
「先生、1つの石の重さはどれくらいですか?」
「大きい石は2トンです。じゃあ、どうやって運びますか?」

 またみんなで考えます。子どもの1人が手をあげて、自分の考えを発表します。彼は、自分の机のうえに鉛筆を並べ、そのうえに筆箱を置いて転がしました。

「うえのほうにはどうやって置くのでしょう」

 これもみんなで考えます。

「ゆるやかな傾斜をつくって、そこまですべらせていくんです。クフ王のピラミッドは210段までありました。いちばんうえに届かせるには2キロくらいの坂が必要でした……。では、今日話した内容をまとめてみましょう」