1ページ目から読む
4/4ページ目

「草を吸うとハッピーになれる」だと合法化は無理

 自分でまとめていても、これは無理だなと思う。どうやって実現するかではなく、現状でそんなことを議論できる土壌すらないのだからだ。

 そうなると日本における大麻の合法化など「あるわけない」という筆者の意見もわかっていただけるのではないだろうか。

 これはまったくの私見ではあるが、日本で大麻合法化論が根づかない理由は、そもそも合法化を唱える人たちの主張が、「草(マリファナ)を吸うとハッピーになれる」とか「ストレスの解消に効果がある」「ほかのハードドラッグにいくぐらいならマリファナでいい」などなど、重点が置かれているのが、使用の先にある快楽だと透けて見えるからだと思うのだ。

ADVERTISEMENT

©丸山ゴンザレス

 そして、彼らは身内的なグループで楽しむことまでしか考えていないので、政治的なアプローチとして合法化のためのロビー活動をすることもない。それどころか下手をすれば所持や販売をしていて逮捕されてしまうこともある。すでに何人もの有名人の顔が浮かんでいる人もいることだろう。逮捕されてしまうと、彼らが何を言おうとネガティブキャンペーンになるだけだ。

 結局、合法化論者は大麻に投影する思想に快楽しかないのだ。その一方で合法化論を推進する運動の足並みには統一感がない。特に合法化となると、そこにはあまりに多くの思惑が絡みすぎる。この絡みまくった糸(意図)をほぐして整理するところからスタートしないと、誤解が誤解を生んで、きっとろくな結末を迎えないんだろうなと思う。そんな最低な状況に至るような考えは、間違いなく危険なものといえるだろう。

世界の危険思想 悪いやつらの頭の中 (光文社新書)

丸山 ゴンザレス

光文社

2019年5月21日 発売