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スーツで「当店はオレゴン産のマリファナを取り扱っております」

 一見するだけでは取り扱っているものがマリファナだとはわからない店内に、ビシッとスーツを着たイケメン店員。

「本日はどのようなものをお求めですか?」

 きちんとした接客。ソムリエですか? と言いたくなる。

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「当店はオレゴン産のマリファナを取り扱っております」

 こちらのペースに合わせながら丁寧に効能を説明していく様子は、高級なワインを扱っているかのようだった。

 店内にはタバコ状のジョイントだけでなく、ペンと呼ばれるリキッドをセットした電子タバコ型のマリファナや、クッキーやケーキ、ドリンクに加工されたものまで陳列されていた。すべてが合法で、店に入れた人は誰でも買うことができる。

©iStock.com

 これがマリファナが娯楽用として解禁されたポートランドの実態である。

 ここまで自由にマリファナを扱うようになるまで、アメリカ国内でも様々な問題が起きていた。特に取り締まりのねじれは大きな障害であった。

書店に並ぶ“マリファナ料理本”

 オレゴン州以外にも早くから解禁されていた州や、医療用の許可証を持っている人には販売する店を構えていた州もあった。ところが、州によっては認可されていたのに、連邦政府によって取り締まられるという矛盾が起きていた。これが問題にならないはずもない。これまで批判的だった世論は「賛成」へと大きく傾いていくことになる。

 住民投票で解禁されるということは、突如として店ができるのではなく、医療用や個人的な使用など、もともと市場として存在していたものを合法と認めるということなのだ。そこに娯楽性が加わるとどうなるか。料理やドリンクの材料にするような加工をしての販売が許されるわけだ。実際、ポートランドの書店ではマリファナ料理の本が販売されていて、思わず購入してしまった。日本に戻ったら使いみちがないのだが。

同じく大麻が合法化されたアムステルダム。様々な商品が並ぶ光景が見られる ©iStock.com

 ちなみにホテルの部屋で吸引すると、入り口のドアの隙間に「室内で吸ったら罰金取るからな!」という紙が差し込まれる。私が泊まっていた宿では、ほかの宿泊客が吸っているらしく、廊下を伝ってフロア全体に匂いが充満していた。そのせいで、本来見ることのない注意の紙を受け取ることになってしまったのである。