「無農薬のマリファナのどこが体に悪いんだい?」
さて、このようなアメリカの現状を受けて、日本における合法化はありえるのかを考えてみたい。
結論から言ってしまうと私は難しいと思う。マリファナの是非をどうこういうつもりではない。かつて、ジャマイカの大麻農家取材の際に農園主から、「大地が育んだ無農薬で太陽の光を浴びた農作物であるマリファナに火をつけて吸うだけだ。これのどこに体に悪いことがあるんだ?」と、問いかけられてすぐに返事ができなかった。彼の論理は間違っていないし、健康に年をとっている彼を前にして何を言っても無駄だと悟った。それ以来というわけでもないが、私は大麻そのものを「悪」とはしないようにしている。
この前提から私は日本における大麻の問題点というのは、現在、大麻を扱っている人、使用している人が「非合法」な存在であることにあると思っている。
日本で大麻を入手できる人は、犯罪者にアクセスできる人
時折、有名人が大麻の所持で逮捕されたというニュースを見かける。そのときに多くの人が思うことは、逮捕された人が裏社会と接点がある悪い人であるということではないだろうか。そのイメージは現在の日本では、間違ってはいない。
他国がどのように大麻を扱おうと、日本国内では違法品である。非合法であるものを取り扱える人の心持ちがいかに善良であっても犯罪者であり、日本の国内にいる限り、その行為は許されない。
大麻を入手できる人は、そんな犯罪者にアクセスできる人なのである。だから、今の日本では悪い人と見られてしまうし、「その通り、悪い人です」と言わざるをえない。
日本では合法化論議をする際に大麻自体の効能や副作用の少なさを取り上げがちだが、本来はこの違法とされるルートを回避して、法律の範囲内で、どのように生産して流通させることができるのかを検討する必要がある。
もし、本当に合法化させるとしたら、まずは大麻を違法に扱う人たちを排除して、医療用のみに使えるように徹底することが不可欠である。
流通ルートの確保と同時に、医療的に本当に必要な人がいるのだという考えを共有するような広告や教育をする啓蒙活動も足並みを揃えていかねばならない。そして、実現するためには、大麻は必要なのだと国が認める決定をしないといけない。