剛力彩芽のインスタ投稿でわかる「日常」を魅せる時代
おぐら 誰と付き合った、何を買った、どこに出かけた、インスタにどんな写真をアップした、それこそがコンテンツ。LINEニュースで流れてくるのはそういうのばっかりです。
速水 そうそう。何か芸をするでもなく、ショーをやるでもなく、日常が一番のエンターテイメントで、ローコンテクストの極み。Jay-Zがプロデュースしたアパレルブランドを欲しがる人のほとんどは、彼の音楽性には興味ないでしょう。
おぐら 神田うのの本業はよくわかってなくても、プロデュースしたストッキングは買うっていう。
速水 剛力彩芽が私生活を全部インスタに上げて透明化しようとしてたのは、明らかにそういうセレブがお手本だよね。彼女は生粋のセレブではないので、うまくいかなかっただけで。
おぐら そう考えると、今は権威主義が復活しているのかもしれないですね。
皇室、二世タレント人気は「権威主義の復権」である
速水 皇室ブームにしても、セカンドロイヤルファミリーにしても、セレブにしても、結局みんな権威が好きなんだよ。ついでに言っておくと、学歴もみんな大好き。
おぐら 芸能界でも高学歴がもてはやされたり、アグネス・チャンの『スタンフォード大に三人の息子を合格させた50の教育法』がベストセラーになったり。
速水 ちょっと前まで学歴なんて関係ない、高学歴に価値なんかないって言われていたのに、反転してやっぱり学歴大事だよねっていうのが今の風潮。
おぐら いろんな生き方や価値観が情報として大量に入ってくる中で、もはや何が正解かもわからなくなり、少しでも揺るぎなさそうなもの、確かそうなものがほしいんでしょうね。
速水 長く続いてるコンテンツに人が収束していくっていうのも理屈としては同じ。でも2019年は、いろんな人が指摘していることだけど、12年続いた「アベンジャーズ」が終わり、40年続いた「スター・ウォーズ」が終わる年でもある。 シリーズものが一旦幕を閉じるタイミング。
おぐら ちなみに、ものまねフリークの知り合いが言うには、石原良純と長嶋一茂がテレビに出続けているのは、ものまね芸人の神奈月がものまねするからだという説があります。さらに、ものまね好き界隈において2019年は、それまでずっと「ブームきたか?」「いや、まだか…」と半信半疑だったのが、ついに「これはものまねブームきたね」と確信に変わった年です。
速水 そんな説も、ものまねがブームだっていうのも聞いたことないけど。