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磯野貴理子問題と空前の皇室ブームにみる、「親近感」と「権威」が大好きな人たち

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

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「カルチャー顔」問題はどこがダメだったのか?

速水 一方で、4月には新興メディアの『ドンクライ(DON’CRY)』が配信した「『カルチャー顔』が好きで好きで好きで。モトーラ世理奈を見ると胸が痛くなる」という記事が、何人かの若手モデルやミュージシャンを「カルチャー顔」だと分類して炎上した。

おぐら コンセプトのページには「他者に『分かってもらえない』『上手くやれない』『必要とされない』と感じ、苦しんだことはありませんか?」「そんな貴方のためのメディアがDON'CRY(ドンクライ)です」と書かれていましたが、まさに自分たちのためのメディアだったんだと痛感したでしょうね。泣くなと言われても、あれだけ炎上したら泣きますよ。

速水 ただ、あそこまで批難されたのは、取り上げられた当事者の1人である小袋成彬が、Twitterで「他の人は知らんけど、俺はムカついた。名指しでからかったんだから、お前一回ロンドンまで謝りにこい。」ってキレたのもあるけど、世間に何かしら響いた部分があったからだよね。これが「バブル顔」とかだったらそこまで燃えなくない?

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問題の記事自体は既に削除されている

おぐら 記事にあった「標準的なハーフ顔ではない」「弱そう」「順風満風な人生を歩むような顔にはどうしても見えない」というような表現にルッキズムを感じられたことが批判の根幹でした。

速水 ルッキズムだ、人種差別的だ、外見をけなして失礼、という批判もあるけれど、そもそも、まったく違う系統の顔を強引にジャンルとして分類してるだけなんだよね。あとは、「カルチャー」って言葉の使われ方も気になる。

 

おぐら 「カルチャー」という言葉自体に差別的な意味合いはないですからね。

速水 顔を批評することについて言えば、南伸坊が顔真似をする『本人術』とか、山藤章二の似顔絵とか、顔と性格を結びつける芸当は、昔から日本の文化としてある。

おぐら そういった顔真似の後継者とも言えるのが、くっきーがやっている白塗りの顔まねとか、ガリットチュウ福島がインスタグラムで発表しているものまね芸ですね。

速水 なるほど、顔から真似るものまねはあるよね。海外のものまねだと、衣装とか髪型は真似ても、そんなに顔まで真似ない気がする。

新旧競争し続けるのが”理想のメディア”

おぐら 「カルチャー顔」の記事はすでに削除されて、記事の執筆者が謝罪、さらに「ロンドンで小袋さんに謝りました。DON’CRY、今後のガイドライン」という記事で、実際にロンドンまで行って小袋さん本人に謝罪したこと、反省したうえで今後どうしていくのかを書いています。

速水 その謝罪を最後に、いまのところ新しい記事は配信されていない。25年も続く『旅サラダ』的なオールドメディアもあれば、出来たばかりで更新が止まる新興メディアもあるってことだね。

おぐら さっき話した番組は『旅サラダ』ではなく『はやく起きた朝は…』です。ちなみに、正式名称『朝だ!生です旅サラダ』は、今年で26年目。

 

速水 まあどちらにせよ、新旧のメディアが拮抗するのはいいんだよ。競争したり、足りない部分を補い合ったり。それよりも不思議なのは、4月末からGWにかけて、テレビが本当に天皇一家一色に染まったこと。