文春オンライン

磯野貴理子問題と空前の皇室ブームにみる、「親近感」と「権威」が大好きな人たち

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

note

おぐら 磯野貴理子さんのニュース、速水さんはどう思いました?

速水 え、磯野貴理子ってなんかニュースあったっけ?

おぐら 24歳年下の夫との離婚を発表したんですよ。離婚を切り出した夫に理由を聞いたところ、言われたのが「俺ね…自分の子供がほしい」と。

ADVERTISEMENT

速水 そうなんだ。それ話題になってた?

おぐらりゅうじ(左)=1980年生まれ。編集者。速水健朗(右)=1973年生まれ。ライター。

おぐら なってましたよ。レギュラー出演しているフジテレビの番組で発表したんですが、ネットではその理由に対して批判が殺到しました。

『はやく起きた朝は…』に変わっても、変わらなかった3人の絆

速水 そりゃ誰でも途中で気が変わることもあるけど、それを馬鹿正直に相手に伝える必要はなかったよね。それ言っても許されるのって戦国武将がギリギリ。でもさ、おぐら君はこのニュース、なんでそんなに気になったの? 年の差離婚問題として? ネット炎上案件として?

おぐら いや、その離婚を発表したのが『はやく起きた朝は…』という番組で。

速水 ちょっと待って、その番組ってまさか森尾由美と松居一代が出てるやつ?

おぐら 松居一代は出てません。松居直美です。

速水 日曜の朝の? あれまだやってたんだ、それがびっくりだよ。でも番組名『おそく起きた朝は…』じゃなかった?

おぐら 年を重ねて早く起きるようになったんです。今は朝の6時30分から放送されていて、4月には番組開始25周年を迎えたんですから。

速水 25年もやってるんだ。よく同じ3人で話が尽きないよね。あと、その間に磯野貴理子のキャラがほぼ変わってないように見えるのもすごい。

『はやく起きた朝は…』は放送開始25周年 左から森尾由美、磯野貴理子、松居直美

おぐら 3人の関係性と絆の強さが番組の魅力なんです。で、その離婚を発表した時も、松居直美が磯野貴理子をハグして泣きながら「私たちが一生面倒見るから」って。森尾由美も「うんうん」って。つらい告白をしたあの場に、25年間一緒に過ごしてきた仲間がいたことは大きな救いでした。

なぜテレビはオールドメディアで現役なのか

速水 なるほど、継続性がテレビの強みなのか。そこはオールドメディアも馬鹿にできないというか。

おぐら テレビはオールドではなく、ちゃんと現役ですけどね。長寿番組になると、レギュラー出演者たちの成長や関係性の変化を視聴者と共有できるんです。ネットで批判をした人たちのほとんどは継続的に番組を見てはいないと思いますが、それでも出演者3人の友情には共感した。だからこそ、まるで自分の仲間が傷ついたように感じて、批判が膨れ上がったんじゃないでしょうか。

速水 長くテレビに出続けていると、なんとなく知り合いみたいな感覚になることはあるんだろうな。

おぐら ことタレントに関しては、今は近寄りがたいスター性のある人よりも、たとえ錯覚でも親近感のある人のほうが好感度も上がるし、世間を味方にしやすいです。