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10年後には消滅か 指を切り落とす「ダニ族」が悩む「後継者問題」

インドネシアの部族を訪ねてみた

2019/06/30

genre : ライフ, , 国際

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ダニ族の村、ジウィカを訪問

 翌日、手配した現地ガイド兼ドライバーと合流し、バリエム渓谷を車で40分ほど北上したところにある小さな村ジウィカへと向かった。そこにダニ族が住んでいるという。車を降りて少し歩くと、ホナイという名前の茅葺屋根の小さな家が立ち並ぶ村に到着した。

茅葺屋根のホナイが特徴的な村、ジウィカに到着。ダニ族の村なのに誰もコテカを付けてないと思いきや…。

 しばらくすると、ホナイの小さな出入口からコテカを付けたダニ族が続々と出てきた。ホナイの中からも裸で暮らす人たちが手を振っている。パプアニューギニアで見たとある部族のように観光客が来た時だけ着替えるのかと思いきや、どうもそうではなさそうだ。裸族として生活しているのは高齢者のみのようだが、高齢者とは思えないほど締った肉体がとても綺麗。冷やかし目的で来た人も、彼らの姿を目の前にした瞬間にそんな気持ちはなくなるはずだ。

堂々と現れたダニ族。コテカは陰嚢と腰にそれぞれ紐で固定することで起立させている。

 ダニ族「わっわっわっわっ」

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 わわわ! なんだなんだ? 優しい顔つきで唱えるように繰り返すこの言葉は、挨拶を意味するらしい。私も「わっわっわっわっ」と挨拶をすると、ダニ族が笑ってくれた。

 その後は、真っ黒なミイラを見せてくれた。黒い理由は、煙で燻すことで防腐効果が生まれるから。この燻製になったミイラはかつて村の勇者であり、200~250年の間村で大切に保管されているので、燻製による防腐効果には目を見張るものがある。私も自宅でたまに燻製を作っているが、ここまで真っ黒に燻し上げるのにどの程度の時間が必要なのか全くもって想像がつかない。

ミイラは自立できないので、手で支える必要がある。ミイラを触るなんて怖いけど、村人は触りなれているのだろうか。