「慰安婦合意」は破棄される?
韓国の外交筋の間でも、もし、文前代表が大統領となれば「慰安婦合意」が破棄されるという見方が大勢だ。
「もし合意が破棄されれば、2012年の李明博元大統領の独島(竹島)訪問、天皇に関連した発言などで一気に冷え込んだ日韓関係よりもさらに凍りついた、関係修復不可能な状態に陥るかもしれない」(同前)
日韓の関鍵である「慰安婦合意」については、昨年暮れの世論調査では59%が「破棄」を求めていたが、街の人に話を訊くと、「破棄は当然。当事者不在の合意なんてそもそもなかったも同然なんです。釜山の少女像にしても加害者に被害者のメッセージを送るためのもので日本が口を挟む資格はない」(60代女性)と言う人もいれば、「朴槿恵にはうんざりだから朴槿恵がやった合意は受け入れたくない。ただ、国と国との約束を破れば韓国のイメージも落ちるし、再交渉してもその先がない。少女像自体には賛成だけど、公道とか問題のある場所、独島なんかには建てるべきではないと思うね」(50代タクシー運転手)と、合意破棄を求める人もその思いは複雑だ。
70体を超えるとされる少女像
ただ、元慰安婦の支援団体が主張する「慰安婦合意の10億円は少女像撤去を前提にした」という「新しいフレーム」は韓国社会に浸透しつつあり、少女像も今年末には70体を超えるともいわれる。
選挙は水物、保守派からも大統領代行を務める黄教安首相などの支持率が動き始めている。韓国の選挙は保守vs進歩という枠組みの対決のため、今は文前代表が最有力でも土壇場まで分からない。しかし、日本はまさかの文在寅大統領登場に備えて、韓国との新たなつきあい方の次なるプランを描く段階に入ったことは間違いない。