奇跡を呼んだ妻から渡された「お守り」
高野の妻がスポーツ振興の神として知られる亀戸香取神社で購入したお守り。ずいぶん前に購入してもらい、何度か身に着けるように勧められていたが、それまではタイミングが合わずに持ち歩いていなかった。
「家を出る時に妻から持って行ってねと何度も言われていたけど、なんだかんだと急いでいたり、忘れたりしていた。そういう状態が3、4回続いて、あの日の朝を迎えたのです。妻から『今日は絶対に持って行って』と言われて。それでカバンに忍ばせて球場入りしました。その日、打球が当たった」
今まで妻から持ち歩くように催促されても忘れていたお守り。ただこの日の朝、妻は「必ず持って行くように」と強く念を押し、渡してくれた。その結果、あわや大惨事は免れた。顔面に向かってきた打球は帽子のツバに当たり、衝撃を大きく弱め、奇跡的な軽傷となった。病院を出た時、迎えに来てくれていた妻と不思議な一連の出来事を振り返った。
「運が良かったとしか言いようがない。こうやって今、野球ができるのは幸せな事。命を救ってくれた。トレードでタイガースから大きなチャンスも巡ってきた。お守りと帽子は移籍しても大切に持って行きますよ」
高野は7月7日、西宮市内のタイガース球団事務所で記者会見に臨み「ストレートでどんどん押していきたい」と熱く抱負を口にした。まだ新居は決まっていないが、新しい家にも命の恩人である帽子と守ってくれたお守りを大切に飾るつもりだ。そして新天地で獅子奮迅の活躍を見せる。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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