2019年5月27日の『ニューヨーク・タイムズ』は、トランプ・アメリカ大統領夫妻の訪日を報じるなかで、「皇后雅子にスポットライトが当たった」(“With Trump’s Visit to Japan, Empress Masako Finds a Spotlight”)とのタイトルを掲げた記事を掲載した。
通訳なしでトランプ夫妻と積極的に会話したことを評価
そのなかでは、皇后が英語を難なく扱い、通訳なしでトランプ夫妻と積極的に会話を展開したことを評価している。雅子皇后の存在が、伝統的で、どこか家父長的な意味合いを有している天皇制を新たなステージへと向かわせるのではないか、そう示唆しているようにも読める。これまで皇太子妃時代に長く病気に苦しんでいた雅子皇后が、令和になって皇后となり、外国に在住し外務省に勤務をしたキャリアを活かすことができるようになった、そのように報じたのである。
この『ニューヨーク・タイムズ』の記事に代表されるように、令和の天皇制は諸外国のメディアにおいても相当に注目されている。新天皇・新皇后のキャリアや人柄、その行動などが報じられている。では、その諸外国における報道はどのようなものなのだろうか。平成から令和にいたるなかで、象徴天皇制の歴史を研究する私も、多くの海外メディアからの取材を受けた。そこには2つの特徴があったように思う。