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それでも脳ドックには注意が必要だ

2019/07/09
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「脳ドックは無駄な検査」と指摘する専門家も少なくない

 未破裂脳動脈瘤を見つける「脳ドック」にはメリットだけでなく、こうしたデメリットがあるわけですが、さらに問題点もあります。脳ドックを受けない人に比べて、受けた人のほうがくも膜下出血や脳梗塞などの発症率や死亡率を減らせるかどうか、まだ明確にはわかっていないことです。

 そのため、「脳ドックは無駄な検査」と指摘する専門家も少なくありません。そもそも、脳ドックを行っているのは日本くらいだと言われています。日本はMRIやCTの人口あたりの保有率が世界で一番高い国です。こうした数億円もする高額な画像診断装置のコストを回収するために、日本では脳ドックなどがむやみに行われているという批判もあります。

 それに、前述の情報ページによると、クリッピング術やコイル塞栓術のリスクもゼロではありません。前者では血管の閉塞による脳梗塞や脳の損傷、後者では瘤の破裂といった重篤な合併症が5~10%起こり、クリッピング術では死亡する可能性は1%程度と報告されています。

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©iStock.com

脳ドックを受けて、誰もが安心を買えるわけではない

 この治療が始まった数十年前、手術による医療ミスが多発し、問題となったこともありました。現在は安全性が向上し、熟達した専門医であれば、合併症が起こることは昔より少ないかもしれません。ですが、もともと何も問題がなく元気で、生涯くも膜下出血を起さなかったかもしれない人が、治療によって後遺症が残ったり、命を落としてしまうリスクもあるのです。

 脳ドックで大きな瘤やいびつな病変などリスクの高い未破裂脳動脈瘤が見つかり、専門医の治療を受けた結果、命拾いできた人ももちろんいるでしょう。ですが、人間には「知らなかったほうがよかった」ということもあります。脳ドックを受けて、誰もが安心を買えるわけではないのです。

 ですから、脳ドックを受けるかどうか迷ったときには、こうしたメリット・デメリットをよく知ったうえで判断してください。中には脳ドックを強く勧めたり、未破裂脳動脈瘤が見つかった人にむやみに治療を勧める医師もいるかもしれません。そのような場合も、治療すべきかどうか、治療するとしたらどの病院で誰に受けるか、情報を集めたりセカンドオピニオンを受けたりして、慎重に検討・吟味してから決断することをお勧めします。

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