緊急搬送されたと伝えられていたジャニー喜多川氏(87)が、7月1日に「くも膜下出血」で入院中と発表されました。発表をしたのは嵐のメンバーで、ジャニー喜多川氏本人からの病状報告やメッセージは今のところ伝えられていません。

 くも膜下出血と言えば、2010年4月2日、読売ジャイアンツの木村拓也コーチがシートノック中に突然倒れた衝撃的なシーンを思い出します。木村コーチは意識不明のまま、5日後に37歳の若さで亡くなりました。

 また、globeのボーカルだったKEIKOさんも2011年10月にくも膜下出血を発症。手術で一命を取り留めたものの、後遺症が残りました。リハビリを続け、時折、回復の様子が伝えられますが、歌手としての本格復帰にはまだ至っていません。

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障害なく社会復帰できる人は4人に1人

 木村コーチやKEIKOさんのように、くも膜下出血を起こした人は、半数の人が死亡するか重度の後遺症が残り、障害なく社会復帰できる人は4人に1人とされています(日本脳神経外科学会広報委員会と日本脳神経外科コングレス「脳神経外科疾患情報ページ」未破裂脳動脈瘤より)。

ジャニー喜多川さんの“緊急搬送”は嵐のメンバーから発表された

 このように、くも膜下出血はとても怖い病気なのですが、どうして起こるのでしょうか。それは、「脳動脈瘤」と呼ばれる、脳の血管の分岐点などにできる動脈のふくらみの破裂が主な原因です。この瘤が破裂すると、脳をつつむ「くも膜」と「軟膜」の間に出血し、突然バットで殴られたような激しい痛みに襲われると言われています。

 それだけに、今回のニュースに触れて、病院の健診センターや人間ドック施設などで行われている「脳ドック」の受診を考えた人がいるかもしれません。頭部MRA(磁気共鳴血管撮影)検査などを受け、破裂する前の脳動脈瘤である「未破裂脳動脈瘤」を発見できれば、大事に至る前に治療を受けることも可能です。

「早期発見が重要」とは言い切れない理由

 治療には、頭蓋骨に穴を開けて、脳動脈瘤の根本に専用のクリップを掛け、瘤に血流が行かないようにする「クリッピング術」と、足の付け根の動脈などからカテーテル(細い管)を挿入して脳動脈瘤に到達させ、それを使ってプラチナ製のコイルを瘤の中にグルグルと詰めて固めてしまう「コイル塞栓術」という方法があります。

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 前者は脳神経外科医、後者は脳血管内治療の専門医が主に手掛けています。どちらも経験豊富な専門医でないと難しい治療ですが、成功すればほとんど破裂の心配はなくなるとされています。ですから、脳ドックを受けて、「脳動脈瘤を早期発見・早期治療することが重要だ」と言えそうな気がします。

 ですが、そうとは簡単に言えません。なぜなら、未破裂脳動脈瘤を持っていたとしても、寿命を迎えるまでの間に必ず破裂するわけではないからです。