安倍晋三首相による、G20大阪サミットの夕食会での挨拶が物議をかもしています。首相いわく、大阪城は明治維新の混乱により焼失したが、その後、天守閣が復元された。しかしその復元時にエレベーターを設置したことは「大きなミス」だった、うんぬん。

 いわゆるバリアフリーの観点から問題だという声が多いわけで、当事者の怒りはごもっともですが、おそらく首相としては単なるジョークだったのでしょう。

話題となった大阪城

 はるばる世界中から来てくれた客人たちに「忠実な復元をお目にかけられず申し訳ない」という日本的謙遜のメッセージも込められていたのかもしれない。私は正直、そこまで目くじらを立てる話ではないと思います。少なくとも、自国開催の夕食会でジョークのひとつも言えない石頭を指導者にいただくことのほうが国家への害は大きいでしょう。

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 ところで私の関心は、別のところにもありました。むしろ首相が、あるいはスピーチライターが、「復元時にはエレベーターが設置されていた」という歴史的事実をちゃんと知っていたことに驚いたんです。