「脇にそっと添えられた、ほのかに甘くてみずみずしい大根おろしは、秋刀魚(さんま)や天ぷら、卵焼きの味をグッと引き立てる。ぶり大根、ふろふき大根、おでんの大根は、一緒に煮るものの味を己に染み入らせて共に美味しくなる。漬物にも切り干し大根にもなる。この活躍振りの割に存在は地味で、どこか謙虚。大根って面白い、とあるとき気付いたんです」
こんな発見から生まれた絵本『大根はエライ』が、今年、第24回日本絵本賞を受賞した。作者はマンガ家・ミュージシャンの久住昌之さんだ。
この絵本が描かれたのは、実は2003年。福音館書店発売の月刊「たくさんのふしぎ」として刊行され、昨年、傑作集として復刊された。久住さんの作品はこのようなパターンが多く、漫画『孤独のグルメ』がテレビドラマ化されたのは、連載開始から18年後。色褪(いろあ)せない作品の力はどこから来るのだろうか。
「僕はいつも一つのものをゆっくり何度も観察している。下手なこだわりなんて持たずにね。すると、頭で考えて作ったギャグなんかよりよほど面白いものが見えてきます」
現在久住さんの個展が開催中! 同会場でライブも。
INFORMATION
久住昌之 59→60展
信濃町・アートコンプレックスセンターにて7月21日まで
ライブは14日19時より
http://www.gallerycomplex.com/schedule/ACT181/qusumi_masayuki.html