――子どもだけでなく、夫婦の間でも久々の会話が生まれるシーンが印象的です。
上出 映画なんじゃないかと思うぐらいの人間模様。あれは僕には撮れてないだろうなと思いました。人の選び方、入り込み方と、自分が介入することによって何かドラマを起こす。そんなハートフルな結末になるの?って。ディレクター本人もビックリしてましたから。
この番組は本当に台本がないので、僕以外のディレクターがどんなものを撮ってくるのか毎回すごい楽しみなんです。どんなことがあってもそもそも想定外。今回の特番でも、ボリビアの「人食い山の炭鉱飯」とブルガリアの「密漁キャビア飯」をディレクターが撮ってきています。期待してください。
「幸せの感じ方を知ってほしい」
――シリーズ通して、MCを担当されている小藪さんが今回のゴールデンの放送について「子どもに見せるべき番組だ」という風にもおっしゃっていました。
上出 日本ではかなり偏った”幸せ教育”がされていると感じることが多くて。この番組を企画したきっかけも、いろんなスラム街や貧困街を歩いている時に見かけた、すごく楽しそうに暮らしている子どもたちなんです。その日暮らしのような子たちが、俺のことを「ジャッキー・チェンが来た」と言って笑う。とにかく本当に楽しそうなんです。だから、なんで日本はこうじゃなくなっちゃってるのかなって。日本の子どもたちにこそこの『ウルトラ~』を見ていただいて、幸せの感じ方を知ってほしいと思います。
――最後に番組名なんですけど『ハイパーハードボイルドグルメリポート』って、略称はないんですか。
上出 それ、僕も含めてテレビ東京みんな頭を抱えていて。しかも今回の特番は「ウルトラ」まで付けちゃった(苦笑)。
――ネットの記事タイトルをつけるときも番組名が長いと悩みます。
上出 局内でもいろんなことを言ってます。僕は「ハイパー」って呼んでるんですよ。ちょっと前までは「グルメリポート」だった。うちのディレクターは「HHGR」とか言ったりして。いや、それ表記的には短いけど、口に出したら結構長いよって。
――視聴者が番組を見ながら、ツイートするときも困りそうです。ハッシュタグつけてつぶやきたい人もいますし。
上出 何がいいですかね。日本語にしたら「#超固ゆで飯報告」みたいなことなんですけど。
――「#ハイパー飯」はどうですか。ハイパーはイメージが強いです。
上出 でも、たまにTwitterで見てると結構「スーパー~」に間違われてて。
「めちゃイケ」みたいにいい略称ないですかねえ。あ、「#ヤバい飯」もよく言われますね。うん、「#ヤバい飯」いいかも。もし良かったらこの記事を見た人はそれでつぶやいてみて欲しいですね。
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#1 「危険すぎる」テレ東社内も激怒 “タブー番組”「世界のヤバイ飯」なぜ復活できた?
https://bunshun.jp/articles/-/12825
写真=平松市聖/文藝春秋
かみで・りょうへい/1989年生まれ。早稲田大学法学部卒。2011年テレビ東京入社。バラエティ番組を制作する制作局に配属。『ありえへん∞世界』のADを務める。その後ADとして『世界ナゼそこに?日本人』の立ち上げに関わり、当番組でディレクターデビュー。海外ロケばかりを繰り返す6年間を経て、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』を立ち上げ。現在は『学校では教えてくれない!所さんのそこんトコロ』のディレクターなど兼任。