テレビ東京がゴールデンタイムに放つ劇薬『ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート  ~ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯~』(7月15日夜9時~)。
 番組は「食うことすなわち生きること」をコンセプトに、これまでリベリアの墓地に住む元人食い少年兵や台湾マフィア、アメリカのギャングといったマジでヤバい奴らの“ヤバい飯”を撮り続けてきた。
 今回はケニアのゴミ山住人の“ヤバい飯”を取材してきたというテレビ東京の上出遼平さん(演出・プロデュース)に話を聞いた。(全2回の2回目/#1も公開中)

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『ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート』を手掛ける上出遼平P

生きるか死ぬかの生き方の美しさをどう伝えるか

――アメリカのギャングだったり、ネパールの火葬場で働く人だったり、「みんなどこに住んでいても毎日お腹空くんだよな」って当たり前のことを思い出させてくれる番組です。そもそも「食うことすなわち生きること」というコンセプトはどこから?

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上出 食うことは生きることだっていうのは、誰もが「そうですよね」と納得できます。でも、ポーンと浮かんだわけではなくて。ひとつにはスラムだったり、難民だったり、日々生きるか死ぬかという生き方をしている人の美しさをテレビ番組としてどうしたら作れるか。そう悩んだときに、食べ物だと思いました。テレビ的に最も映しづらいものをテレビ的に最も作りやすいもので包み込もうと。

 

 もうひとつ、小説や紀行文で食にフォーカスを当てたものが一大ジャンルということもあります。例えば『もの食う人びと』(辺見庸)もそうですよね。僕自身、ロケで世界中へ行っていて、色んなところの飯が面白いなというのも感じていましたし。うん、その2つですかね。

――これまでの海外ロケで、印象深いご飯はありますか?

上出 その国がどんな土地か、土壌がどうか、あとは住んでいる人たちの性質も全て食べ物に出るなと思ったんですよ。「この国の人たち、朝昼晩トウモロコシでよく飽きないな」とか。それはアフリカの南の方のマラウイという国なんですけど。三食すべてトウモロコシ。「エナジードリンクあるよ」ってもらったらトウモロコシを発酵させたドリンク。小さい子が布をたすき掛けにして何かをあやしている。よくよく見たらそれもトウモロコシの芯で(笑)。「マジかよ、ほぼトウモロコシでやり繰りしてるな」って。

――マラウイはいつ行かれたんですか?

上出 だいぶ前ですね。入社してから『世界ナゼそこに?日本人』のディレクターをやっていた時代があって。番組では「世界のヘンピなところで頑張る」日本人ばかり取材していたんですけど、日本人と離れた時に現地の人のところに行って、食べ物を観察しては「その食材からこれを作るのか。ん、でもよく考えたら日本のあれと一緒だよな」とか「豆発酵させてるんだ。これって納豆だ」とか。それで「これ自体を番組にしたいな」って思い始めて。