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2019/07/21

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会, 政治

IOC総会に久子さまを引っ張り出した「前歴」

「安倍首相が上皇陛下を苦手にしていたことは宮内庁内ではよく知られています。自民党が政権を奪還し、安倍政権が再び誕生してから、当時の風岡典之宮内庁長官は上皇陛下の意向を受けて水面下で安倍首相に対して再三、女性宮家創設の議論を進めてくれるように要請しましたが、支持層の『保守派』と言われる人たちに遠慮して、要請を事実上無視し続けました。そのことで上皇陛下は安倍首相に不信感を持たれていたとささやかれており、首相もそれを感じて苦手にしていたようです。安倍首相は上皇陛下を怖がっているようにも感じていました。

 一方で天皇陛下は安倍首相の5歳年下ということもあり、苦手にしている様子は一切見受けられません。言葉は悪いのですが、安倍首相は天皇陛下を“御しやすい”と思っているのではないかと疑ってしまうほどなのです。だからこそ、外交と安全保障の分野に関心が高い安倍首相は天皇陛下に気兼ねせずに、国賓として大国トップの招聘を連発できるのだと思います。ある意味、天皇の政治利用と言われても仕方がないでしょう」(同前)

 安倍首相には皇室の政治利用の“前歴”がある。2013年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会(IOC)の総会に高円宮妃久子さまを「引っ張り出し」(野党関係者)、東京五輪を招致している。この際も当時の風岡長官が「苦渋の決断」としたうえで、「天皇・皇后両陛下(現在の上皇・上皇后両陛下)も案じられていると拝察した」と発言し、懸念を表明している。

IOC総会の開会式前、出席者と話す安倍首相と高円宮妃久子さま ©共同通信社

御所を訪れ、天皇陛下と面会する「パフォーマンス」

 新元号発表の前後、安倍首相は頻繁にメディアに登場してアピールした。御代替わりの祝賀ムードを政権浮揚につなげようとするかのように、4月に新元号「令和」が発表された際、平成の時には官房長官の会見だけだったにもかかわらず、今回は首相自身も記者会見を行い、どういう思いで「令和」としたかをアピールした。この際も、識者からは「皇室の政治利用になりかねない」と指摘されている。

 共同通信社の世論調査では、3月9、10日に行った調査で43・3%だった内閣支持率が、4月1、2日の調査では52・8%へと10ポイント近く跳ね上がっている。

「新元号の発表直前、安倍首相は2月22日と3月29日の2回、現在は赤坂御所となっている東宮御所を訪れ、皇太子だった天皇陛下と面会されています。通常は首相が皇太子をこんなに頻繁に訪ねることはありませんが、この席では改元についての説明もあったと言われています。もちろん、ご自身の御代の元号となるわけですから、天皇陛下のご関心も高かったはずですので、説明があるのは当然ですが、それさえも一連の祝賀ムードを盛り上げるパフォーマンスのように感じていた職員は多かったようです」(前出・宮内庁関係者)