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 先に第12回朝日杯で後手番が4局続いたと書いた。先後を決める振り駒は、球技のコイントスのようなもの。先手番が5割程度になるのが普通だ。

 ところが、2018年度の藤井は、振り駒を行った対局の42局中で先手番になったのはわずか12局(28.6%)。極端な結果が出ていたのだ。2019年度は、これまでのところ振り駒で先手8局、後手7局。振り駒の結果は平均的になってきたようだ。

地元で行われた「瀬戸将棋まつり」にて ©文藝春秋

「来年は、今の自分に65%勝てる強さを目指します」

 タイトル挑戦の最年少記録は、屋敷伸之九段の17歳10ヵ月。タイトル獲得の最年少記録もやはり屋敷九段の18歳6ヵ月。それらの更新ができるか注目されているが、藤井のコメントを読むと、本人は記録に拘泥した様子はない。

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 将棋世界2018年7月号のインタビューでは「(タイトルの最年少獲得記録について)意識はしていないです。その時までにタイトルを取り得る実力になっているかどうか、ということは大事だと思いますけど……」と述べている。

 藤井がよく述べているのは、記録についてではなく、棋力を向上させることだ。将棋世界2019年2月号のインタビューで「自分としては、記録のことよりも、強くなれる時期がどれくらいあるのかという部分を意識しています」と話している。

おそるべき17歳は、どこまで進化を続けるのか…… ©文藝春秋

 また、昨年末、関西将棋会館のTwitterアカウント(@shogi_osaka)の企画で、藤井は2019年の目標を「来年は、今の自分に65%勝てる強さを目指します」と記している。

 強くなる中で、結果がついてくればいいと考えているようだ。2019年新春用に行われた各媒体のインタビューの場で、藤井は「進歩」と色紙に揮毫した。色紙の右上に押す関防印は「果てがないこと。限りのないこと」を意味する「無極」。

 将棋という果てのない世界で、17歳となる藤井が、どのように進んでいくだろうか。この少年棋士の活躍からまだまだ目が離せない。

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