今日は参議院議員選挙の投票日。その前に、知っておきたいキーワードを池上彰さん『政界版 悪魔の辞典』(角川新書)から紹介します。
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●あくむのようなみんしゅとうせいけん【悪夢のような民主党政権】
自分たちにとって「悪夢」になったことを他人のせいにする安倍晋三首相流のレトリック。
【解説】
2019年2月10日の自由民主党大会で、安倍首相(自民党総裁)は、2007年の参議院選挙での敗北に触れる中で、「悪夢のような民主党政権が誕生した。あの時代に戻すわけにはいかない」という内容の演説を行いました。
この発言について、2月12日の衆議院予算委員会で、当時の民主党政権で外務大臣を務めた岡田克也氏が「頭から相手を否定して議論が成り立つのか」と発言の撤回を求め、「全否定したようなレッテル貼りはやめろと言っている」と非難しました。
安倍首相は、「少なくともバラ色の民主党政権でなかったことは事実なんだろうな」と答え、発言撤回を拒否しました。
さて、これは論理的なやりとりになっているのでしょうか。
「悪夢のような」と「少なくともバラ色ではなかった」はイコールではありません。「バラ色ではなかった」ということは、「とても素晴らしいとは言えない」という意味でしかなく、「悪夢のような」という強い否定にはなっていないからです。
逆に言えば、「いまの自民党政権はバラ色です」と言っているに等しいのです。これは、なかなか傲慢ですね。
ご自分の答弁が、論理的にはどんなことを意味するのか、論理の勉強をされたほうがいいのではないか。
ただ、民主党政権が安倍首相をはじめとする自民党にとって「悪夢」であったことは事実でしょうね。政権を失って失意のどん底にいたのですから。