1ページ目から読む
3/5ページ目

マンゴー農園で無限マンゴー

 いよいよ待ちに待ったマンゴー農園へ向かう。ガイドが運転する車でのどかな農村を進むこと20分、着いたのは観光農園ではないごく一般の農園だった。外国人がいきなり訪れても大丈夫なのかな?と思った瞬間、倉庫からマンゴー農家さんが満面の笑みで迎えてくれた。

右がマンゴー農園を切り盛りするシーチンお母さん。左は長男のホウキン君。

 こちらのマンゴー農園では全てお母さんが栽培している。お父さんと息子さん2名は会社勤めのサラリーマンをしており、土日にお母さんの農園を手伝っているとのこと。長男のホウキン君は日本での留学経験があり日本語が話せるため、私たちとお母さんの間に立って通訳をしてくれた。

 以前は農園で主にグアバを育てていたが、8年前にマンゴーにシフトした。「どうして?」と聞くと「食べたかったから!」。食べたいから作ると気軽に言えるほどマンゴー栽培は容易ではないはずだ。気温も湿度も耐えがたいほど高い玉井で、毎日休むことなく早朝4時から手間暇かけて大事に育て上げる。それをサラリとこなすお母さんがカッコいい。

ADVERTISEMENT

 農家さんと一通り挨拶が済むと、お母さんは冷蔵庫からキンキンに冷えた完熟巨大愛文マンゴーを山ほど出して、手慣れた手つきでカットしたマンゴーを私たちに渡してきた。美味しそうなマンゴーを前にニヤついてしまう。早速マンゴーにむしゃぶりついたその瞬間、皆の動きが止まった。

 う……美味すぎるっ!!

 最高の状態まで真っ赤に熟れたマンゴーの強烈な甘さ、繊維を感じさせず一瞬でとろりと溶けてしまう果肉、舌の上に広がる甘美で芳醇な香り、かぶりつくと泉のように溢れて止まらない果汁。これぞ産地で味わう醍醐味。スーパーで売ってるマンゴーとはまるで別物である。もはや芸術品の域に達していると言っても過言ではない。

『ミスター味っ子』の味皇ばりに口から怪光線を出して大絶賛したいのは山々だが、我々からは「ぼぇー」「ふげぇー」「あ゛ー」と、ものすごい頭悪そうな音しか出ない。たぶん上等なマンゴーには言語野を一時的に破壊する謎成分が混ざっているに違いない。美味しいお肉やお寿司もきっとそれ。

冷蔵庫で冷やした完熟マンゴーを次から次へと渡してくれるお母さん。この笑顔に一同メロメロである。