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マンゴー狂いの日本人4人が、台湾・玉井の農家で“わんこマンゴー”した話

腹いっぱいマンゴーが食べたいんじゃー!

2019/07/20
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 しかし旅行社が決まってホッとしたのもつかの間、マンゴー不作のニュースが飛び込んできた。異常気象により生産量が昨年の2~3割になるらしい。日本のニュースでも取沙汰されるくらいだから、よほどの規模だろう。マンゴーの里・玉井に行ってマンゴーが全く見当たらない可能性もあるのでは?と不安がよぎる。

 更にフライト当日、台湾に台風が直撃してしまった。私が搭乗した成田~高雄便は1時間の遅延で済んだが、友人2名が乗るはずだった羽田~台北便の欠航が決定。ここにきて2名脱落か……と落胆していたところ、欠航を食らった友人達が「何がなんでもマンゴー狩ってやるわ!」と叫びながら、直前で値上がった8時間後の成田~台北便を勢いで購入。台風で運休した高鐵(新幹線)に代わり深夜バスを乗り継いで集合場所の台南駅にゲッソリした顔で現れた。マンゴー食べたさに旅行を企画した私がドン引きするほどのマンゴー愛である。

玉井に近い高雄空港まで東京から4時間。金曜日の仕事終わりに飛んでも、その日のうちに到着する近距離が嬉しい。

赤い愛文マンゴー、黄色い金煌マンゴー

 玉井は「マンゴーの故郷」と言われるマンゴーの一大産地だ。一番人気の愛文マンゴー、実は台湾の在来種ではなく、台湾マンゴーの父と呼ばれる玉井の農家・鄭罕池さんが1962年にアメリカのフロリダ州からアップルマンゴーの苗木100本を持ち込んで、台湾での栽培方法を確立し普及させたものである。

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 玉井に到着後、まずは台湾最大のマンゴー市場である玉井青果市場へと向かった。不作とは思えないほど右も左もマンゴーだらけ。赤い愛文マンゴー、黄色い金煌マンゴー、緑色の烏香マンゴーなど、様々な種類のマンゴーが並び、近郊から車で来た客が籠ごと購入してゆく。籠一つで60円~2,000円と品質や種類によりピンキリだが、日本の販売価格と比較するとどれも爆安だ。

様々な品種のマンゴーが並ぶ玉井青果市場。

 ちなみに玉井には2018年に世界最大のマンゴーかき氷にチャレンジし見事成功したギネス世界記録がある。3,333個の愛文マンゴーを使い、高さ1.45メートル、重さ1,554キロの超巨大かき氷が制作された。

ギネス世界記録に成功した瞬間の様子。ギネスには食材を無駄にしないルールがあるため、この後マンゴーかき氷は無料配布された。