日本一といわれる生活用品のコレクションが、秋田市にあるのをご存知だろうか。「油谷これくしょん」と呼ばれるものがそれである。
秋田県横手市出身の油谷滿夫(あぶらや・みちお、1934年~)氏が、地元で文房具店などを営みながら、1950年より60年以上にわたってコツコツと収集してきたもので、その収蔵品数はなんと50万点にものぼる。
2012年、そのうち20万点が秋田市に寄贈された。現在、廃校になった同市立金足東小学校の校舎で展示・公開されている。
「後世に残らない」生活用品 内容は多種多様
秋田駅より車で30分弱。郊外の田園地帯にあるので、アクセスはあまりよくないが、それでも行ってまず損はない。まだ白くきれいな2階建ての校舎には、所狭しと生活用品が並べられ、誰もが「ひとりでよくここまで集めたな」と驚かされるだろう。ちなみに、入場料は無料だ。
内容は本当に多種多様。めんこ、こけし人形、うつし絵などの玩具から、ビール、日本酒、煙草、缶詰、マッチ、レコード、映画チラシ、ランプ、ちょうちん、化粧品、ミシン、針箱、アイコン、職人道具、カレンダー、カタログ、寺社案内、そして箪笥、リヤカー、荷車、自転車、人力車など大型のものまで。時代も幅広いが、やはり昭和期のものが群を抜いている。
こうした生活用品は、不要になればすぐ処分されるので、意外と後世に残らない。そのため、ここは昭和史を記録する貴重な宝庫である。今後、ドラマや映画の時代考証でたいへん役立つだろう。