昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

熱中症「死亡現場」緊急レポート リスクが高い「老老介護」「貧困の若者」

高齢者の一人暮らし、老老・認認介護、ワーキングプア……

source : 週刊文春 2013年8月29日号

genre : ライフ, ライフスタイル, ヘルス, 社会

定期的な配達や”見守りシステム”で対策を

 こうした高齢者の突然の発症を早期に発見するためには、なにより地域社会との接点を持つことが大事だという。たとえば、牛乳配達員が配達先の高齢家庭の異常事態を早期に発見することも多いという。

「新聞が郵便受けに溜まり始めると、隣家などが不審に思ってくれますが、生活が厳しい人は、新聞を取るのを止めてしまう。そういう場合は、牛乳やヤクルトなど、コストが低いものを配達してもらうのも方法です」(順天堂大・稲葉裕名誉教授)

 牛乳配達なら週2回計5本の配達で約2500円(森永乳業の場合)、ヤクルトなら月約2000円から毎日配達してもらえる(地域による)。

 また、最近では様々な形で一人暮らしの高齢者を見守るシステムがある。

 象印マホービンは、無線通信機を内蔵した電気湯沸かし「iポット」をレンタルしている。ポットを使ったかどうかが、離れた家族の元にメールで毎日連絡されるのだ。契約料(初回のみ)は5250円で、毎月のレンタル料は3150円。東京ガスの「みまもーる」は、ガスの利用状況がメールされる。こちらは加入料5250円、利用料は月987円だ。

©iStock.com

「セコムやALSOKといった、ホームセキュリティを活用するのも手でしょう。センサーを設置して、トイレのドアの開閉がなかったり、室内での動きが一定時間ないと、管理者に知らせるといったシステムを導入するケースが増えています」(都内の不動産業者)

家族同居で間一髪

 もちろん家族が小まめに連絡を取るのも重要だ。ただし、高齢者は自らの症状の進行に気付かないことも多いため、注意が必要。

「少々具合が悪くても電話には出られます。実際、前日の電話には出たのに翌日には熱中症で倒れていたケースもある。食欲の有無も判断材料の1つですから、何をどれくらい食べたのかを確認するなどの必要があります」(三宅教授)

 実際、高齢者だけの家庭でも、家族がいたことで、間一髪助かったケースもある。京都市内に住む90代の女性がそうだ。一緒に住む70代の娘が話す。

「夕方頃、隣の部屋から、バタンという大きな音が聞こえてきました。慌てて見に行くと、ベッドの脇でおばあちゃんが真っ赤な顔をして倒れていました。意識がなく、それどころかいびきをかき始めたのです」

 熱中症とその対策の知識があったので、応急処置として、脇の下や足の付け根を氷で冷やし、体温を下げる努力をした。すると、15分ほどで意識を取り戻したという。いびきの原因は意識障害によるものだった。

「数年程前から脚を悪くしており、介助しながらトイレに行くのに1回で20分ほどかかってしまうのです。それもあって、あまり水分を摂りたがりません。世代的な習慣からか、エアコンをつけるのも嫌がるところがありました」(同前)

©iStock.com

 そういう場合にいい方法があると話すのは、介護ジャーナリストの長岡美代氏。

「あまり水分補給をしたがらない高齢者には、味のある麦茶やスポーツドリンクなどを寒天やゼリーにして食べてもらう方法もあります。あるいはところてんのような味にして、塩分を同時に摂って貰うのもいい。水を飲むのは嫌だけど、固形物なら食欲が出るという高齢者は多いのです」