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やっつける能力よりも、やっつけられる積極性

――武田さんは柔道経験者で、映画「刑事物語」(1982年)ではハンガーをヌンチャクに見立ててカンフーを披露していますよね。そういった経験があったからこそ、すんなり合気道に馴染めたのでしょうか?

武田 いやそれがね、合気道はまったく別物なんですよ。ジャッキー・チェンが強い敵にやられそうになっているときに、相手の力を利用して劇的に流れを変えるってシーンがあるじゃないですか。最初、合気道はそんな武道だと思っていたんです。でも我が道場ではやっつける能力よりも、やっつけられる積極性を身につけることのほうが評価が高い。合気道っていうのは、いかに上手にやっつけられるかで、技の理解度を測るんです。

 

――実際に立会いをすることもあるのでしょうか?

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武田 いえ、私の通っている道場は型稽古だけなので、実際の立会いはありません。柔道でいうと“打ち込み”までを稽古する武道なんです。自分の得意技を磨くために相手に脱力してもらい、相手の体重を借りて、自分の技の入り方を何回もなぞる。そうやって技への理解を深めていくんです。

 

――年齢を重ねてから新しい世界へ飛び込むことに抵抗はなかったんですか?

武田 内田先生がこんなことを言っています。「学びの姿勢は、コミュニケーションを結ぶ時の最も手っ取り早い方法である」。我が道場でも、私なんかより中学生ぐらいの子の方がはるかに上手いんです。だから分からないことがあればすぐに質問するんですね。どんなに歳をとっても、学ぶ姿勢を保っていれば孤立しないでいられるんですよ。

 実は「金八先生」が終わった時にも、何かしようと思っていたんです。でも何がしたいのかずっと分からなかった。それが合気道をやり始めてやっとわかったんです。