フォークバンド・海援隊で紅白出場を果たし、映画「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)、ドラマ「101回目のプロポーズ」(フジテレビ系・1991年)や「3年B組金八先生」(TBS系・1979~2011年)など、数々の名作に出演してきた俳優・武田鉄矢。今年で芸歴47年、御年70を数える、押しも押されもせぬ“大御所”だ。
そんな武田鉄矢が65歳から合気道をはじめ、しかも最近“スピード昇段”したらしいという情報が舞い込んだ。武田は現在2段だが「10年かかっても辿り着かない人もいる」(同じ道場の門下生)という。年齢を重ねてなお成長を続ける秘訣はどこにあるのだろうか。
大手術の後、ウツっぽくなって気持ちが落ち込むようになった
――スピード昇段、おめでとうございます。
武田 ありがとうございます。しかしちょっとオマケもあるような気がして……。ただゴマを摺ってくれるような道場じゃないので、1日45分間、週2回、老骨に鞭打ちながらコツコツやっているのを先生が哀れに思ったのかもしれません(笑)。
――そもそもどういったきっかけで合気道を始めたのですか?
武田 61歳の時に心臓に欠陥が見つかって、ちょっと大きい手術で人工弁を入れたんです。その頃はモチベーションというか、やる気がどんどん下がっていってね。ウツっぽくなって、気持ちが常に落ち込むようになってしまったんですよ。若い頃は夜中に目が覚めてもすぐ寝られたんですけど、年を取るとそこから眠れなくなるんですよね。その時に暗いことばっかり考えるんです。それで精神的にもだいぶ弱ってきて、何かしないとまずいなぁと思いましてね。
――その時に出会ったのが合気道だったと。
武田 実際に道場の門を叩いたのは2014年7月です。でも50代の頃から合気道には興味があった。フランス哲学者で合気道の達人でもある内田樹(うちだたつる)さんが好きでよく本を読んでいたんですけど、合気道についてのくだりになると途端に訳が分かんなくなる。この人は一体何が言いたいんだろう、どうしてこんな考え方ができるんだろうとずっと謎に思っていたんです。
そこで鬱ウツとした気持ちも吹き飛ばしたいし、「よし、道場へ行ってみるか」という気になりましてね。実際に道場へ足を踏み入れると、みるみる引き込まれた。ハッと気が付いたら5年も経っていました。