トランプ米大統領にクリントン元米大統領から英国王室まで、華麗な交友関係を誇っていた謎の大富豪が未成年の少女を組織的に買春していた疑いで逮捕された。「友人」らは潮が引くように去っていったが、トランプ政権の高官が辞任するなど、逆に疑惑は燎原の火のごとく広がる勢いを見せている。
未成年の少女に対して金を払って「マッサージ」と称して性的な行為をさせていた疑いで7月6日、米連邦捜査局(FBI)などに逮捕されたのはジェフリー・エプスタイン容疑者(66)。遅くとも2002年以降、14歳~17歳の少女数十人以上をマッサージと称して自宅や別荘に招き入れ、数百ドル支払って性行為などをしていた疑いがある。
高校教師から大富豪に
エプスタイン容疑者は、一介の高校教師から大富豪に成り上がった立志伝中の人物として米国では知られるが、その詳細は謎に包まれている。
犯罪が明らかになる前の2002年にその半生を追った米雑誌「ニューヨーク・マガジン」によれば、エプスタイン容疑者は米国で高校の数学教師として働いていた20代のころ、金融業界で働く生徒の親の一人に見いだされる。この親を通じてトレーダーに転職して頭角を現し、投資銀行の上層部に登用されて間もなく独立。以来、顧客を資産10億ドル以上に絞り、資産管理から税金対策までを手がけるビジネスで大成功したという。
仕事以外の面では、社交界の大立て者の女性との交際で名を鳴らす一方、その資産を惜しみなく学術研究に注いだことでも知られるが、メディアには露出を避けてきた。
「一緒にいると楽しい奴だよ」
ニューヨーク・マガジンにそう答えたのは、当時は一介のビジネスマンだったトランプだ。「俺みたいに美しい女性が好きだともいわれているけどね。ほとんどは、かなり若めのようだけど」と続けたが、よもやその「若め」が未成年を意味するとは……。
だが、捜査によれば、この報道の頃から犯行は始まっていたことになる。