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「日本にオリンピックを開催する資格があるのか」

「東京オリンピックをボイコットすべきだ」という主張は、これまでも韓国国内のSNSなどに数多く書き込まれていた。大統領府のホームページにも東京五輪ボイコットを求める請願が寄せられていた。

韓国大統領府サイトの国民請願ページ(http://www.president.go.kr/

 そうした国民感情に応えるように、7月末、いよいよ韓国政界の中から日本に対する“警告”が出たのだった。

 与党・共に民主党の「日本経済侵略対策特別委員会」の崔宰誠委員長は7月25日、韓国駐在の海外メディアなどで構成する「ソウル外信記者クラブ」主催の会見で、日本メディアの記者が多数いる前でこう語った。

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「日本の措置への国際世論の反発が広まれば、東京オリンピックにも影響が及ぶ。歴史認定と率直な謝罪をしない日本に、オリンピックを開催する資格があるのかを聞きたい」

8月3日付の韓国紙が一斉に批判した「ホワイト国」除外 ©共同通信社

福島の農水産物にも言いたい放題

 また、福島県産農水産物にも言及し、「日本国民も冷遇する(福島の)食品を全世界の参加選手らの食卓に上げるという。政治に目がくらんで、オリンピック選手まで人質に取るものだ」。

 さらに崔氏は、日本の輸出管理強化について「自国企業の被害まで当然視する態度だ。神風自殺爆撃が行われた真珠湾空襲が思い起こされる。日本が経済戦犯にならないよう願う」「日本は戦略物資統制の部分で深刻な後進国だ」と発言した。

 同席した元議員の金民錫特別委員に至っては「安倍首相が経済戦争を中断し、その原因の歴史について謝罪しなければ、最も彼が売り込みたがっている製品である東京オリンピックに対し、全世界の良心が不買運動をすることになる」とまで豪語した。

 まさに韓国らしい、言いたい放題だ。

 翌26日には、同委員会の幹事を務める呉奇炯幹事も、記者団に対し、「日本に平和の祭典であるオリンピックを主催する資格はない。放射能水産物にも問題があり、日本も落ち着いて考えねばならない」と語っている。

 ちなみに、この「日本経済侵略対策特別委員会」とは、与党内部の“有志”による組織で、委員長の崔氏は現職の国会議員。呉氏は2016年の総選挙で落選している。

 東京オリンピックを持ち出した一連の発言は、世論を意識した韓国の政治家らしいものだ。「日本が経済報復を仕掛けてきた」と韓国社会が動揺し、怒りが高まっている中で、世論に彼らの主張を否定する雰囲気はない。