「経済侵略、第2の攻撃、安倍政権を糾弾する!」
8月3日、旧駐韓日本大使館前では、こんなシュプレヒコールが響いた。
デモの名は「安倍糾弾3次キャンドル文化祭」。主催者は正義記憶連帯(元慰安婦を支援する旧挺身隊問題対策協議会)や韓国進歩連帯、全国民主労働組合総連盟などの進歩革新系の市民団体682団体。文在寅大統領の支持基盤勢力だ。今回のデモは朴槿恵前大統領弾劾を要求したキャンドルデモ以来、結集した団体の規模としては最大だという。
この日は1万5000人ほどが集ったと主催者側は発表したが、警察は2500人ほどと見積もった。ざっと見渡した限りでは、警察発表のほうが近い感触だった。集った人々は中高年以上が圧倒的で、どこかの団体に属している人が殆どで互いに握手を交したり、携帯で写真を撮ったり、どこか同窓会的な雰囲気も。
「主要部品の輸入を攻撃するのはフェアじゃない」
団体に属していない、1人で来た何人かに話を聞いたが、共通していたのは、「反日ではなく、反安倍」という言葉だ。
ソウル市内に住むという60代の女性は、「これは、経済侵略です。強制徴用工の判決については、個人請求権が残っている限り、日本はそれに応えなければいけません。そうした歴史問題を経済にすり替えて、それも韓国のアキレス腱といわれる半導体分野を脅かすなんて、断固として許せません」と語気を強めた。
それでも、「でもね、決して反日とか、日本人を否定しているわけではなくて、安倍首相のその理念に反対しているだけなんです」と諭すような口調に。これからの展開については、「声をあげていくだけです」という答えが返ってきた。
ソウル市郊外からやって来たという50代の会社員はこう話していた。
「徴用工問題で韓国がきちんとした立場を表明しなかったことは非難されるべきです。それでも、人口5000万人という規模の小さい市場の韓国は輸出で成り立っていますから、主要部品の輸入の遅れは命とりにもなりかねません。内需でも生きていける日本とは違うのです。そこを攻撃するのはフェアじゃない。これは、日本や日本の人々への反発ではなく、安倍首相のイデオロギーへの反対と思っていただければと思います」
文在寅大統領が異例の生中継
8月2日、日本政府が韓国を「ホワイト国(輸出手続きを優遇する対象国)から除外する」ことを閣議決定したことが伝わると、韓国はそれこそ蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。ニュース番組は一斉にこの問題に切り替わり、午後2時には青瓦台(大統領府)が臨時の国務会議を召集。会議に入る前には、文在寅大統領が異例の生中継で対国民メッセージを発表したのは周知のとおりだ。