1ページ目から読む
3/3ページ目

ノリと熱狂と不見識で動く「政治的非常識層」

 抗議活動が殺到して脅迫まで来て展示は中止になってしまったわけなのですが、その1週間前には共産党系の「新日本婦人の会」による抗議で、神戸の自衛隊イベントが中止に追い込まれたりしています。

©iStock.com

 どうしても津田大介さんを筆頭とする活動家による提言は、寛容とは程遠いどころか議論が先鋭化する方向に進むのは仕方のないことで、抗議や脅迫でイベントが中止になるのも「そういう嫌な思いをする人がいるなら、過激化されても困るし安全を考えて中止しておくか」という判断になるわけですよ。ごく少数の人たちによる「私はその表現で傷ついた」とか「私のこの権利は守られるべき」などの繊細な当たり屋的な行動はノイジーマイノリティの定番行動となり、その結実が津田大介的なものなのでしょう。政治の世界でも少数の騒がしい支持者によって、あたかも世の中がその人たちの主張に関心があるように取り上げられる傾向はあります。

 いわゆるノイジーマイノリティの問題はこれから非常に過激化していくことが予想され、古谷経衡さんが喝破するところの、ノリと熱狂と不見識で動く「政治的非常識層」が、既存政党不信と絡んで大きくなっていっているのかなあ、と思うわけです。

ADVERTISEMENT

『NHKから国民を守る党』はなぜ議席を得たのか?(古谷経衡)
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20190722-00135151/

「津田大介さんを支持する」という趣旨の記事を掲載したところ

 突き詰めれば、これらの「社会的な寛容の喪失」は、決して直接の不利益を被った被害者、当事者でもないのに、政治的、世俗的に気に入らない表現に対しては制限を加えようとする社会的な動きがノイジーマイノリティの活動にパワーを与え、結果として脅迫を受けるような面倒くさい言論活動や作品発表は控えよう、好き者は好き者の中だけでひっそりやろうという萎縮を生んでいるようにしか思えません。

 その不寛容の急先鋒がそもそも津田大介さんだったわけで、今回の騒ぎについては津田大介さんに対して「お前が言うな」という反応が多くなるのも致し方のないことでしょう。また、それは別として、今回は津田さんがやろうとしていた展示は表現の自由の原則に基づいて守られるべきであるし、津田さんのお陰で今回のような議論がより広く問いかけられ、多くの人たちの論考を促しているという点で、決して無駄なムーブではなかったと思います。

©iStock.com

 なんせ、私も先日、自分のブログに「津田大介さんを支持する」という趣旨の記事を掲載したところ、「山本太郎は左翼だから津田大介の肩を持つのだろう」とか「山本太郎は津田大介をれいわ新選組から出馬させるために持ち上げている」という抗議メールが20通ぐらい私に寄せられたわけですよ。

 私は山本一郎です。

 みんなもっと一郎と太郎の違いについて議論を深めて欲しいと心から思っております。

津田大介があいちトリエンナーレで炎上してるけど、今回は津田大介支持
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13231726.html

 最後になりますが、凍結された私のTwitterアカウントは津田大介さんからブロックされていました。

INFORMATION

 ついにこの日が来てしまった……。文春オンラインの謎連載、特にタイトルがあるわけでもない山本一郎の痛快ビジネス記事が待望の単行本化! 現在、Kindle Unlimitedでも読めます。

2019年5月15日発売!!

 その名も『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』。結婚し、出産に感動するのもつかの間、エクストリーム育児と父父母母介護の修羅を生き抜く著者が贈る、珠玉の特選記事集。どうかご期待ください。