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小泉進次郎結婚 密着記者が語る「滝川クリステルとの2つの共通点」とは

メディア戦略としてもピンポイントの狙いを感じました

2019/08/07
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父・純一郎は「結婚は遅くて良いですね」

 かつて小泉純一郎元総理に取材したときには、次男・進次郎さんの結婚について「結婚は遅くて良いですね。四十過ぎでいいよ、四十過ぎたほうがいいぞ。今、(長男の)孝太郎は三十七か。自由でいいじゃないか。何十年も一緒になるのは飽きちゃうぞと、ゆっくりでいいぞって言ってるんだ」と語っていました(『小泉純一郎 独白』より)。

©常井健一

 また、小泉さんは囲み取材の中で「政治家としてはまねしたくないが、父親としては小泉純一郎のような父親になりたい」と語っています。純一郎さんは、「子育て論」について私にこう話していました。

〈まずはしっかり抱いて愛情を注ぐ。泣いても怒らない。三歳くらいまでは、親に甘えてもいいんだから。とにかく怒ってはいけない。両親、きょうだいから自分は認められているんだ、大事にされているんだと小さな頃から思わせる。突き放すのも良くありません〉

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〈孝太郎と進次郎がまだ小さかった頃には、野球が好きだったからせめてキャッチボールの相手くらいはしようと思って、そのためだけに東京から一時間以上かけて家に帰ることもありました。キャッチボールが終わると車に乗って、また東京にとんぼ返りです〉(『決断のとき』より)

©常井健一

結果として入閣には近づいた

 小泉さんは、「自分は感覚としては亭主関白に近い」と語っていたこともあります。普段イノベーションをしきりに唱える小泉さんにしては、ちょっといまの世情とは合わないので意外に感じたものです。

 働き方改革や女性の社会進出が大きな政治的課題となっている中で、小泉さんが自分の改革路線に沿った生き方をできるのか。自分の妻のキャリアをどう支援するのか。子どもが無事に生まれたら、どこまで育児に参加するのか。結婚によって彼が男を上げられるかどうかは、これからにかかっています。これまで以上に一挙手一投足を注目されることは間違いありません。ややもすれば「滝川クリステルの夫」という評価が下りかねません。

 また、これまで永田町の“常識”では、政治家の妻は「分身」として地元を守り、選挙をもり立てるものでした。ところが、小泉家の場合はやや特殊なカルチャーがあり、小泉純一郎元総理は早くに離婚をしていて、奥さんがいなくても成り立つ選挙態勢を敷いてきました。小泉さんが2歳になる前に両親が離婚したので、幼い頃からもそういう風景を見てきたわけです。つまり、彼の中には、奥さんがいなければ地元が回らない、選挙ができないという発想がありません。そこは、他の世襲政治家との違いでしょう。

©常井健一

 政局的には、秋の組閣が1つの注目ポイントとなります。結果として厚生労働相、少子化担当相、社会保障の特命担当大臣などのポストに就かせやすくなったことは事実です。実は、最近の小泉さんは自ら掲げる改革が思うように進まず、政治家としては踊り場にありました。人気も一段落し、厳しい評価も見られるようになりました。ところが今回の結婚を機に、我が子の出産に立ち合いながら、子育て生活を語っていく。そんな前代未聞の“リアルタイム大臣”という新しい試みもあるかもしれません。

 そもそもが非の打ちどころのない二人です。一気にお祭りムードになっているのもうなずけます。ただ、お祝い事に水を差すつもりはありませんが、これは芸能人の結婚ではありません。今後も彼の政治活動をしっかりとチェックしていきたいと思います。

【訂正】滝川クリステルさんが小泉進次郎衆院議員を取材した場所について、「横浜のみなとみらい」と記しておりましたが、正しくは「新横浜」でした。お詫びして訂正します。

小泉純一郎独白

常井 健一

文藝春秋

2016年2月25日 発売

小泉進次郎結婚 密着記者が語る「滝川クリステルとの2つの共通点」とは

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