“サラリーマンおじさん”にはわからない3つのこと
一方、友達の経営するベンチャーに行ったら安泰か。はじめは友達として迎えてくれた社長も、仕事と友情は別である。些細な事でのすれ違いからいざこざが始まる。でも会社の中で偉いのは社長だ――。その末路は推して知るべしだろう。
では、どうしておじさんたちは第2、第3の人生で成功することができないのだろうか。できない理由は3つある。そしてその理由のひとつひとつは会社の中で長年にわたって飼いならされてきたおじさんたちにとっては、頭でわかっていても決して「本当にはわかっていない」ものなのだ。
その1「給料はもらうもの」
会社に勤めるということの本質は、「かごの中の鳥」でいられることにある。鳥たちはかごの中を自由に飛び回る。大企業であればあるほどこの“かご”は大きく、あるいはガラス張りで、その中を飛び回る社員たちは自分たちがあたかも自由に大空を飛び回っているかのような錯覚に陥る。俺は大きな仕事をしている――。彼らの自尊心はこうして養われるのだが、所詮は鳥かごの中という「限定」された世界なのだ。
そして鳥たちは毎月25日になると餌箱に降り立ち、「給料」という名の餌をついばむことが保証されている。どんなに稼ぎのない月だって会社という鳥かごが用意されている限り、餌にありつけるのがサラリーマンだ。
サラリーマンが起業するということはこうした鳥かごから出ることを意味している。かごを出た鳥が最初に感じるのが、空は大きく、青く、そしてどこまでも広がっているということだ。ここで自由に飛び回るんだ。もう誰にも邪魔なんかされない……。
だが、そんな自由を満喫する余裕はあっというまになくなる。青かった空は一転、にわかに掻き曇り嵐がやってくる。そして空からは鷲や鷹が遠慮容赦なく襲い掛かってくる。鳥かごから大事に持ち出してきた退職金という餌もあっという間に底が尽きる。餌箱の餌は当たり前の話だが、誰かが入れてくれるものではなく、自分で用意するものなのだ。
こうした当たり前のことを、起業する“おじさんサラリーマン”の多くがわかっていない。やたらに立派なオフィスを構える、高額な社長デスクや椅子を買い求める。起業での失敗は、まずはおじさんのこうした勘違いから始まる。