その3「会社は自然と存在するもの」
サラリーマンで部長あたりを経験してきたおじさんは一番始末に悪い。部長とはその名の通り、部門の長にすぎない役職である。実は部長職にあるおじさんたちの大半が会社という組織をよく理解できていない。
会社には株主がいる。取締役もいて、その代表が代表取締役。そしてその多くが業務執行も兼ねる執行役社長である。この単純な構造をわかってるつもりになっているだけで、実は何にもわかっちゃいないのである。
会社法を勉強せずにいると痛い目にあう
実は、起業して失敗するおじさんの多くが会社法をよく勉強していない。おじさんたちの多くは起業の際に複数の仲間たちと一緒になることが多い。はじめのうちは仲良く走り出すのが常だが、そのうち経営方針ややり方をめぐって意見対立が起こるのも起業の常だ。そのとき、会社という器をよく勉強しておかないと痛い目にあう。
会社は最終的には株主に決定権がある。最初は代表者であっても株式を押さえられると自由に行動できなくなるのだ。ベンチャー企業で取締役に就任しても、大株主の御意向には逆らえない。
サラリーマンだけやってきたおじさんの多くが会社という器を何も勉強せず、自分の想いだけで起業したり、ベンチャー企業に入って一儲けできると妄想する。だが会社という生き物は冷徹だ。友情もへったくれもない。生きるか死ぬかの大勝負だ。会社という鳥かごの中だけでぬくぬくと餌をついばんできたおじさんには、実は起業もベンチャーもあまりにハードルが高いのだ。
悪いことは言わない。多少のプライドは捨てて今いる会社にしがみつくか、2000万円の貯蓄はなくとも会社という器だけの人生から距離をおいて自らの新しい価値観、生きる糧を見出すほうが、まだまだ長い人生を豊かに生きる賢い方策なのではないだろうか。